埼玉遠征(第1話)

 8月の頭。無双祭さんと飯田に行き、貧乏神神社をお見舞いされて以来、諸般の事情で多忙となり、なかなか旅に行くことができなかった僕でしたが、12月になり、ようやく暇が取れるようになりました。
 そんな折、無双祭さんと会った際に、
「またどこか行きませんか?」
 と、声をかけて頂きました。
 ここ最近、おとなしくしていた僕が、この話に飛びつかないはずがありません。
「ぜひ行きましょう」
 2つ返事はしたところで、問題となってくるのは行き先です。
「はてさて、行くのはいいとして、どこへ行くべきですかな? 冬だけに雪が降る地方には行けないし、かと言って、近場は制した気がするし、どっか適当なところに心当たりはありませんかい?」
 僕が問いかけると、無双祭さんから簡潔に返答がありました。
「かなり前に小旅行の候補地を話し合ったときに、ゲン君は埼玉の川越に行きたがっていたじゃないか。そこでいいんじゃない?」
 なるほど、埼玉だったら、雪が降る可能性も低いしなぁ。
 僕は記憶をたどり、なぜ川越に行きたかったかを思い出しました。理由は2つあった気がしました。
 1つ目の理由は、戦国時代に(はい、そこ! またそれか、とか言わない!)北条氏がわずか2千の兵で、関東大名連合が率いる6万の兵を破った河越(昔はこっちの字を使うはず)夜戦が行われた地であり、その土地を自分の目で見てみたかったから。
 もう1つの理由は、当ブログにコメントを寄せてもらうこともある獣神サクライガーさんを介して知り合った方の出身地であり、小江戸と呼ばれる粋な街並みと、駄菓子屋横丁なる界隈が、川越には存在すると聞き及んでいたから。
 ……以上の理由で、僕は当時、川越に行きたいと言ったはず(笑)。改めて考えても、十分に魅力的なプランだと思いました。
 僕は決断しました。
「では今回は川越に行きましょう」
「了解です。行ってやりましょう」
「ところで、無双祭さん。僕は川越にいけるからいいとして、無双祭さんは、どっか埼玉付近で行きたいところはありませんか?」
「うーん……そうだなぁ」
 無双祭さんが熟慮したところで、次回に続きます。 (つづく)