埼玉遠征(最終話)

 僕とジョイトイが昔の遊びコーナーでの遊戯を終えて、博物館の入り口付近に戻ると、どうやら博物館の学芸員による館内の説明が始まった様子。そしてそれに熱心に耳を傾ける無双祭さんの姿がありました。
 まだしばらく時間がかかりそうだったので、僕は体力を回復するために車に戻り仮眠を取ることにしました。早朝から運転しっ放しだったので、ここらで寝ておいた方が、帰り道に眠くならなくて済むとの判断です。
 車に戻り横になっていると、しばらくしてからジョイトイと無双祭さんがやって来たので、僕は起き上がりました。睡眠も適度に取れたので気分は爽快です。
 2人が車に乗り込み、いざ車を出そうとしたときに、ふと時計に目をやると、時刻がまだ2時30分だったので、僕はジョイトイに問いかけました。
「この時間なら、もう1箇所ぐらい、どっか見に行けるな。無双祭さんは忍城、俺は川越と、それぞれ好きな場所を見たわけだから、今度行くところは、おめぇが決めていいぞ」
 すると、ジョイトイからは、こんな返答が。
「そう言われてもなぁ。俺、会社の仕事が忙しくて、今回の旅にも行けるかどうかわからなかったから、下調べとか全然してないんだよねぇ」
「そうかい。だったら、静岡に向かって走るから、道中で何か興味のあるものを見つけたら、そこに寄るってことでいいかい?」
「ああ、それで構わんよ」
 こうして走り出したまでは良かったのですが、最寄りの高速道路のICである鶴が丘ICにつくまでは、特にこれといったスポットを見出せなかったのが運の尽き。
 高速に乗ると、寄りたいようなサービスエリアもなかったせいか、あっと言う間に関東圏を脱出。圏央道→中央道→東富士五湖道路と進むうちに、2時間弱で静岡県に戻り、もはや寄りたい場所など皆無といった状況に。
 いやはや、やはり目的や目的地の定まらない旅は危険でしたね。
「どうしても、どこかに寄りたいわけじゃないから、別にこのまま解散でも構わないよ」
 とのジョイトイの言葉もあったので、僕らはどこかに寄ることを諦め、一路清水を目指すことに。須走ICで一旦高速を下りて、御殿場ICで再び高速に乗る往路と同じ道を辿った結果、午後5時30分、清水に到着。飯を食い解散の運びとなりました。
 さて、今回の旅の総括ですが、忍城も川越もキレイに整備されていて気持ちの良い城と街だったので、観光スポットには恵まれたと思いました。
 ただこれは僕らの不徳の致すところなのですが、行きたい場所をもう1箇所ぐらい用意していけば良かったと思いましたな。せっかく埼玉まで行ったのに、2時30分に帰路に着くのは、かなりもったいなかったなと。できれば7時ぐらいに現地を出て、深夜に帰って来るぐらいの方が達成感もあって想い出に残る旅になったと思いますので、そこが悔やまれます。
 え、なになに?
 ジョイトイが川越での自由時間を短いものにしなければ、充実した旅になったんじゃないかって?
 それもそうですな……。ヤツは重く締めておくことにしましょう。
 ではまた、次回の旅でお会いしましょう。
 企画は既に実行済みなのですが、ややマンネリ化しつつある、いつもの3人組の旅ではないので、ご期待下さい。 (埼玉遠征 完)


CAST


ゲン
無双祭
ジョイトイ


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
テーマソング:吉田拓郎『唇をかみしめて』
制作統括:ゲン