埼玉遠征(第7話)

 絶品焼きおにぎりに舌鼓を打ちながら、蔵造り商店街の各種商店を見たり、有名な『時の鐘』などを見学したのち、僕は裏通りを通って駄菓子屋横丁に向かいました。
 駄菓子屋横丁とは、文字通り駄菓子屋が立ち並んだ夢のような一画のことです。到着して、まずは各店舗をざっと見回した後、1番大きな店で、子供の頃に好きだった駄菓子を購入。
 子供の時分は購入を制限せざるを得なかった駄菓子を大人買いするのは、なんとも痛快でしたな。
 さらには別の店で、駄菓子屋横丁の名物とも言える巨大ふ菓子を2つ購入。家で挑戦しようと思い、勢いで買ったものの、とんとそんな気にならず、結局、他所にくれてしまったのは、ここだけの話であります。
 駄菓子と巨大ふ菓子で手が塞がった僕は、集合時間が迫っていたこともあり、車に戻りトランクに荷を入れることにしました。
 15分ぐらい歩いて荷物を車に入れると、少し離れたところにあった小奇麗な和菓子屋に無双祭さんが入って行くのを発見。
 せっかく小江戸と言われる粋な街に来たのだから、和菓子を食らうのもまた一興と思い、僕は無双祭さんの後を追って和菓子屋に入店。
 幾つかの和菓子を頬張る無双祭さんに対し、僕は普通のつぶ餡の饅頭を購入しパクり。え、お味ですか? 食う人が食えば、それなりのものだったのでしょうけど、僕のバカ舌には荷が重過ぎたようで、他所のつぶ餡饅頭と味の違いはわかりませんでした。残念。
 そうこうするうちに、待ち合わせ時間が近づいたので、僕と無双祭さんは、待ち合わせ場所である博物館に移動しました。
 間もなくジョイトイもやってきて、博物館の見学を開始。行田の博物館よりも規模が大きいだけに、展示品も充実していて見応えがあったのですが、僕が1番気に入ったのは、庭にあった水を流すと、管楽器のようないい音がする水木琴のコーナー。本能的に楽しかったんですよ。たぶんさつきに借りた傘に雨粒が落ちたときのトトロと同じような感動が、僕の五感を刺激したのだと思います。
 あとは出口付近にあった昔の遊びコーナーも楽しかったですなぁ。剣玉やらコマがおいてあって、自由に遊ぶことができるようになっており、ジョイトイと幾つかの遊具で遊んだのですが、地味に盛り上がりました。無論、近代遊具の粋であるファミコンに適うべくもありませんが、たまには昔の遊びもいいもんだと思いました。
 いい大人が、せっかく行った博物館で、子供が好きそうなものにのみ多大だ興味を示したところで、次回、最終回に続きます。 (つづく)