キクチに逢いたくて仕方ない(最終話)

 キクチの運転する車に乗り込み、走ることおよそ30分。
 僕らは刈谷サービスエリアに到着しました。刈谷サービスエリアは、高速道路のサービスエリアなのですが、一般道からも入ることができる施設で、僕らは近くの駐車場に車を停めて、刈谷サービスエリアへと侵入しました。
 刈谷サービスエリアといえば、ゴージャスな内装で話題のデラックストイレと観覧車で有名ですが、その他にも『えびせん』(知多半島の名物)屋やら、横綱ラーメン(端的に言えば美味いラーメン屋)をはじめとした数多の店が凌ぎを削っており、中は大盛況でした。
 まずはデラックストイレを見学し、その後でえびせん屋を見学した僕らは、いよいよ観覧車に乗り込むことに。
 この日は強風で、しかも刈谷サービスエリアは、海から近い平野部にあるものですから、かなりゴンドラがかなり揺れて、高いところが苦手な僕は、もはや半狂乱寸前。早く地上に降りたい気持ちで一杯でした。……え、なんで嫌なものに自ら進んで乗るかって? Mだからだよッ! リアクションで皆さんに笑ってもらうためだよッ!
 しかしながら、恐怖のあまり自律神経をやられたのでしょう。猛烈な腹痛に襲われた僕は、観覧車を降りた僕はトイレに直行する羽目に。あ、ちなみにデラックストイレは人がたくさんいて恥ずかしいので、人気の少ない休憩所のトイレで用を足した次第です、はい。ただそちらのデラックスでないトイレには、刈谷地方の昔話が扉に張られていて、これがなかなかシュールで楽しめました。違う話も見てみたいので、今度あそこで用を足す機会があったら、別の個室に入ってみたいと思います。どこも同じ話だったら、そのときのことは、そのとき考えるよ。
 トイレを出た僕は、観覧車を降りたのち、一足先に農産物の直売所へ向かったキクチとNOVさんを追いかけ合流。しかしながら、特別に買う物も見当たらなかったので、僕は特別に何も買わずに撤収することになりました。やっぱ地産地消すべきですから、僕らは静岡のもんを食べないと!
 こうして僕らは、だいたいの要点を見終えたので、刈谷サービスエリアを去ることにしました。そのときの時刻は4時半。そろそろ豊田観光は潮時と判断したので、僕らはキクチに帰る旨を宣告しました。
 キクチに僕の車をおいてある複合施設内の駐車場まで送ってもらい、彼に別れを告げた後で、僕とNOVさんは僕の車に乗り込み、帰路につきました。
 行きと同じく、渋滞に見舞われることもなく、順調に高速道路を走った結果、6時半頃に静岡ICへ到着。精算がてらの夕食を取ったのち、僕とNOVさんも解散となりました。
 さて、今回の旅の総括ですが、たいへん良い旅だったと思います。もちろん久しぶりに新鮮なメンバーで旅に行けたことも良かったと思いますが、キクチが頑張ってくれて、豊田市の観光地を色々と引き出してくれたのが特に良かったと思います。
 これまでの僕の旅は、歴史に造詣の深い街を見定めてから、そこに行く企画がほとんどでしたが、今回の旅は、まずキクチの新居ありきで、その周辺を無理矢理に観光した形であったわけです。にも関わらず、これだけの素敵な観光地を巡れたということは、日本全国津々浦々には、まだ見ぬ多くの観光スポットがある裏付けだったと言えるのではないしょうか。
 そんな意味で、僕の今後の企画のあり方に対して、大きな影響を与えた企画だったと思います。この感動が、どう活かされるかはわかりませんが、とりあえずまた次回の企画でお会いしましょう。 (キクチに逢いたくてしかたない 完)


CAST


ゲン
NOV
キクチ


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
テーマソング:吉田拓郎『唇をかみしめて』
制作統括:ゲン