キクチに逢いたくて仕方ない(第8話)

 空腹に耐え切れず、名古屋名物である台湾ラーメンを諦め、キクチのオススメ店で坦々麺を啜る僕ら。
 キクチが言うだけあって、坦々麺は美味しかったので、名古屋名物以外を食べてしまったこと以外は満足でした。わかります? 腹は満足したけれど、気持ちが何だか満足しないこの感じ。
 しかしながら、いつまでもジョイトイの如く、グジグジと女の腐ったのみたいなに済んだことをぶり返して言っては、キクチに申し訳が立たぬので、僕らは前向きに次なる観光スポットへ向かうことにしました。
「さて、キクチちゃん。次はどこへ連れて行ってくれるんだい?」
「せっかく車で有名な豊田に来たんだ。トヨタ博物館に連れて行ってやろう」
 トヨタ博物館とは、その名のとおり、昔から今に至るまでの車を展示している博物館です。ちなみにトヨタ車だけでなく、他社の製品も展示されているとのこと。
 僕自身は、そこまで車に興味のある人ではないのですが、豊田市に遊びに来た以上、そこ1番の観光スポットは押さえておくべきだろうと思い、キクチのプランに賛同。NOVさんも賛成ということで、全員一致の意見で、トヨタ博物館に行くことにしました。
 またしても豪勢に高速道路を利用し、僕らはトヨタ博物館へと移動。
 たぶん数年前にやった万博の名残りと思しき施設で、博物館はたいへんキレイでした。
 入場料は1000円と、ややお高めではありましたが、館内展示物の充実ぶりを見れば、納得のお値段と言えましょう。駐車場で1000円を強奪した上で、何の見せ場もない群馬のスネーク・センターには、トヨタ博物館さんの爪の垢でも煎じて飲んで頂きたい!
 たっぷりと1時間半ほどで館内を見終えたところで、キクチから猛烈な睡魔に襲われたとの申し出がありました。眠いまま運転をして、何かあっては事なので、ここは仮眠をとってもらうことに。
 間、僕とNOVさんは、くっちゃべっていることにしたのですが、僕らが陣取ったソファが、なんとフカフカで気持ちの良いことか! さすがは天下のトヨタさんじゃ!
 40分くらい経過したところで、キクチが覚醒したので、僕らは建物を後にして、車に戻りました。
 時刻は3時前。まだ帰るのには早い時間です。もう1箇所どこか巡りたいねと話し合った結果、キクチの家のすぐ近くにある刈谷サービスエリアで、みんなで観覧車に乗ることになりました。
 あの、俺、高所恐怖症なんだけど、何か? (つづく)