地獄少年(最終話)

 ジョイトイに会計を任せ、出口に向かった僕。
 そのとき予期せぬ事件が起こったのです。
 チャージ料等の仕組みがわからないジョイトイが、マスターに薦められるがままに飲んだブルーベリービールが高額だったと判断し、なんとマスターに詰め寄ったのです。
「あのさ、さっき飲んだフルーツビールって何円!?」
 な、な、な、な……何と下衆な質問をするんだ、こいつは! ほとんど全ての酒が700円から1000円の間の料金設定なんだから、その程度であることは想像がつくだろうに!
 バーの良い雰囲気をブチ壊すジョイトイの一言に、僕が凍りついたのは言うまでもありません。
 ……もう2度と来られないな、この店には。
 そう思い肩を落とす僕の目線の先で、マスターはこの怪物の相手をしていました。
「先ほどのブルーベリービールは、900円になります」
「ふぅん……」
 値段を聞いて、不満そうに僕の方に引き上げてくるジョイトイ
 マスターも、こんなヤツでも客は客ということなのでしょう。見送りの挨拶のために、ジョイトイの後に続き、僕の方へとやってきます。
 そのマスターに気づかなかったのでしょう。ジョイトイは僕に近づくなり(マスターがすぐ背後にいるにも関わらず)言いました。
「あれで900円はねぇよなぁ。なぁ?」
 顔を引き攣らせる僕とマスター。
 ていうか、なんで店の中で、こういうことを平気で言っちゃうかなぁ、この人は。
 その後、僕がジョイトイを引きずるようにして、店から離れたのは言うまでもありません。
 誰か、こいつ目がけてミサイルを落として下さい! お願いだからッ!
 ……というわけで、今回の結論。
 ジョイトイと自分の大切にしている(またはしようと思っている)店に行ってはいけない!
 このことを皆さんも念頭において、行動してもらえればと思います。
 こんな話で6話も持たせてすみません。
 ではみなさん、また次回の企画でお会いしましょう。 (地獄少年 完)