地獄少年(第5話)
バーから出ることが決まったところで、ジョイトイが僕に1杯分ご馳走すると言うので、僕は財布から千円札を取り出し、ジョイトイに手渡しました。
「これぐらいでいいか?」
「ああ、構わんよ」
僕から金を受け取り、ジョイトイはマスターにチェックの旨を伝えます。
そしてマスターが金額の書かれたメモをもってきたところで、事件は起こりました。金額を見たジョイトイがワナワナし始めたのです。
ドエライ金額だったのだろうか? いや、過去に数回来たときには、そんなことなかったし……。
状況を把握できない僕が、請求金額を覗き込むと4700円。
……なんだ、普通じゃないか。
飲み物の平均価格が900円(4杯)、ナッツ代300円だとして、チャージ料とかお通し代を含めれば、何もおかしくない金額です。まぁ高いと言えば高いんだろうけど、それは一般的なお店と比較しての話なわけで、まぁバーとしては普通なわけですよ。当然、ボッタクリとか、そういうのであろうはずがない金額なのです
そこで僕は閃きました。。
あー、たぶんチャージ料とかを加味してなくて、予想外の金額でビビッたんだろうなぁ。
あまりに不憫に思えたので、僕はジョイトイに言いました。
「もう少し出そうか?」
「うっ、あ、ああ。じゃあ、すまないがもう500円くれ」
2000円を僕に出されると、もはや奢ったとは言えない状況になるので、ジョイトイがギリギリのところで、提案してきたのが、500円だったのでしょう。
よしよし、500円玉を渡すから、これで落ち着いてくれ。
そう思いつつ僕は500円を手渡し、勘定を彼に任せ、先に店の出口へと向かいました。
……えっ? 500円の追加請求がオチなのに、次回に続いて間が持つのかって?
500円がオチじゃないんですよ、これが。
想像を絶するジョイトイの奇行が炸裂する次回、いよいよ最終話です。(つづく)