西愛知奇行(最終話)

 伊良湖岬から浜松へ向かう道中、車内での話題は、もっぱら夕食をどこで食べるかについて。
 僕らの住んでいる静岡市は、どういうわけか全国にチェーン展開する店が、出店を渋る傾向にあるのですが、反面、浜松には色々な出店しているので、そちらに遠征した際には、静岡にない店で食事をするのが、ちょっとした楽しみになっています。
 はてさて、どこで飯を食うべきかと思っていたところ、無双祭さんから、こんな提案が。
餃子の王将の浜松店にしましょう」
 あー、前に貧乏神神社から天竜川で川下りをした帰りに寄ったところかぁ。確かに美味かったね。でも餃子の王将は、最近静岡にもできたから、そっちに行けばいいのでは?
 そう顔に書いてあったのでしょうか。無双祭さんが畳み掛けます。
「あそこの、あそこにしかないエビマヨが最高に美味いんだ!」
 そういえば、前も行ったときに食べてたね。俺も1つもらったけど、味が濃い目で美味かった気がする。
 あい、わかった!
 無双祭さんの熱意を買い、僕とジョイトイ餃子の王将浜松店行きを承諾。
 その後、伊良湖から1時間半程かかり、夕方の6時前に餃子の王将浜松店に到着。少し早いですが、夕食を取ることに。
 すると、ここで事件が。
 あれほど無双祭さんが楽しみにしていた「エビマヨ」がメニュー表に載っていないのです。
 こ、これはッ!
 無双祭さんが真っ青になって、店員に訊ねます。
「エビマヨは、もうないんですか!?」
「申し訳ありません。もうありません」
 かける言葉が見つかりません。南無ぅ。
 憔悴しきった無双祭さんを傍目に、こってりラーメンとチャーハンと、これまた貧乏神神社興行のときと同じ物を頼み味わう僕でしたが、あのときほど、美味いと思いませんでした。きっと前は、かなり腹が減っていたんだね(苦笑)。
 こうしてほうほうの態で、餃子の王将浜松店を脱した僕らは、そのまま浜松市街を抜けて国1バイパスに乗り、清水へと向かい解散となりました。
 さて、今回の旅の総括ですが、余計な色気を出して、本来の目的である長篠には行けなかったものの、豊川稲荷伊良湖岬が、それなりに楽しかったので、良い興行だったと思います。
 長篠もまた次回、遠征を開催する口実にはなりそうなので、しばらく企画を暖めておこうかと思います。
 それでは、また次回作『怨足』でお会いしましょう! (西愛知奇行 完)


CAST


ゲン
無双祭
ジョイトイ


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
テーマソング:吉田拓郎『唇をかみしめて』
制作統括:ゲン