ハルロー・オブ・ジョイトイ傑作選④(パンフレット)

 時を遡ること十数年前。
 大学に通うべく東京で下宿していた僕のところに、ジョイトイ君を含む数名の友人が遊びに来てくれました。
 せっかくなので、有名な観光スポットを見て回ることにした僕らは、渋谷、秋葉原、浅草などを巡り、夕刻になったところで、僕の下宿へと戻ってきました。
 すると、ジョイトイ君がおもむろに、真剣な表情で僕に言いました。
「すまないが、これを何かに包んで捨ててもらえないか?」
 彼が僕に渡そうとしたものは、その当時、霊感商法で噂になっていた某宗教団体(最高ですかッ!?のヤツ。詳しく知りたい方は、ネット等で適宜調べて下さい)のパンフレット。 
 すかさず僕が、
「なんでこんなもん、持ってやがるんだ!?」
 と、突っ込みを入れると、彼は恐れおののいた表情で言ったのです。
「渋谷の駅前で配っているのを、うっかりもらっちまったんだ。で、どこかで捨てようと思ったんだが、連中のことだ。後をつけてきていて、捨てた瞬間に、いちゃもんをつけられると厄介だと思って、ここまで持ってきたんだ。頼む、こっそり捨てておいてくれ」
 どんだけビビリなんだよ、と思うと同時に、不幸の手紙をとりあえずリレーしておいて、渡した相手に処分させれば自分は罪を免れる的な発想に、心底あきれ返った僕なのでした。