私の愛したカピバラ(第7話)

 ソフトクリーム攻防(?)で、若干の時間を費やしましたが、晴れて『カピバラ虹の広場』にやって来た僕は、喜び勇んで広場に入りました。
 しかし! カピバラはいるものの、どうみても人間の方が多い(笑)。6年程前に、お近くの伊豆アニマルキングダムの触れ合い広場で見たカピバラの周りには、こんなに人はいなかったのに。
 どうやらこの6年でカピバラ人気が急上昇した模様です。
 小さい子供もいる中、それを押しのけて36才のおっさんがフィーバーするのもなぁ……。しかし、ここまで来たからには、カピバラと触れ合いたいのぅ。
 そう思って遠目にカピバラを見ていた僕は、あることに気付きます。カピバラは手ぶらの人には興味がなさそうにそっぽを向き、ただただ餌を持つ人に近寄って行くのです。当然といえば当然ですが。
 フフフフ。子供たちよ、おじさんはお金を持っているのだよ。
 最低な大人オーラを全身に纏いつつ、カピバラの餌コーナーに向かいます。すると、ここにある餌の青草が、なんと1束200円。束と言っても、ホント僅かな束なのです。
 こっ、これで200円かよ!
 いわゆるお祭り価格に驚きながらも、ここで引くわけにもいかないので、200円を箱に入れて、青草を手にします。
 そして嫁に満を持して、自分のスマホを渡し、
「これで俺とカピバラさんの雄姿を撮って……」
 と、依頼している間に、本日最大級の事件が発生したのです。(つづく)