原付の旅① 清水〜甲府220キロ (第7話)

 最近、本編の前の小話が、だいぶ長くなってますねぇ。最初は本編の前座みたいな形で、読者の皆様に食前酒をお出しするような気持ちで書いていたのですが、短期間の間にダブルメインみたいになってしまった(計画性がないなぁ)ので、どうしたものかと思っております。このままの形でいいのか? ボリュームを下げた方がいいのか? 読者の皆様の率直なご意見を頂けると嬉しく思います。どうかよろしくお願いします。
 さて、連日での登板となりました。実は明日、新しい企画を実行するので、1日繰り上げて更新させてもらった次第です。何をするかは、まだ秘密ですが、次の次の次に掲載されると思いますので、どうぞお楽しみに。意外に大型企画とだけ言っておきましょう(フフフ)。
 それでは佳境を向かえた原付の旅の続きをどうぞ!


 甲府駅を出たところで、僕は深刻な問題に気がつきました。帰り道がわからない! ブログをご覧のみなさんは冗談に思えるでしょうが、本当にわからなかったのです。甲府駅の標識ばかりを追って来たので、どこを曲がれば来た道に戻るのかを全然チェックしていなかったのですよ、僕は。エヘへヘへ(←アルティメットバカ)。
 とにかく悩んでいても埒があかない(立ち直りだけは早い)ので、自分の直感で、ここぞという十字路を右折してみると……なんとそこは見覚えのある道! 俺って天才! どうでもいい2分の1の選択は外しても、スーパーヒーローはここぞという場面じゃ外しちゃいけないって、80年代の少年ジャンプに(勝手に)習いましたからッ!
 勝てば官軍とはよくいったもので、これで一気に調子づいた僕は、近くのスタンドで給油したのち、快調に原付を飛ばします。見覚えのある大道路が見えたところで、側道に左折。あとは静岡まで一直線……のはずでした。でもこれ、僕の話でしょ。ハッピーエンドになるはずがありません。
日が沈む前にできるだけ距離を稼いでやろうと、『走れメロス』のような心境で、しばらく原付を飛ばしたあとのことです。とある標識が目に付きました。
〈東京 ○○キロ〉
 フーン。東京まで○○キロか。ちょうど静岡と東京の中間だな……って、ちょっと待ていッ!
 勘の鋭い方はお気づきのことと(普通に気付く?)思いますが、静岡に向かって走っているのに、東京まで○○キロといった標識はありえないのです。
 まさかまさかの大逆走!
 鼻歌交じりが一転、体中から脂汗が吹き出ます。とりあえずUターンして、見慣れた道まで戻ることに。こんちくしょうッ!
 なんとかもとの道に戻った(来るときにたまたま目に付いた信玄餅の店があったので、目印になりました)ところで、冷静になって考えます。
 そういや往路で来るときに通った川や免許センターを、まだ通過してねぇうちに左折したな……。
 謎は全て解けた! 来たときと似た道があったから、ついウッカリ左折してしまったけれど、まだ直進しなければいけなかったんだ(←リアルバカ)! 
 最初の選択を当てて、舞い上がっているときに起きた悲劇でした。人間、調子に乗ったら痛い目に遭いますねぇ。
 すっかり日も沈み、気力も萎え果てたところで、静岡まで残り100キロ! 一瞬、どこかに泊まることも考えたのですが、金がない、着替えがない、コンタクトを取ったら目が見えない……ということで、やはり帰るしかありません。
 待ってろ、静岡! 今から行ってやるからなッ! 暗闇の中、アクセルを捻ります。
 次回、原付の旅①、感動の(?)最終回です! お見逃しなく! (つづく)