男レース 三島〜清水60キロ (第10話)

 いやはや、なんの因果かわかりませんが、柔道の腕を買われ(?)、職場近くの中学校の柔道部の練習に参加することになりました。本日行って来た次第です。今日は初日ってことで、ほとんど見学していたのですが、僕の枯れ果てた奥義が、どこまで通用するかドッキドキでしたよ。でもまだ中学生相手なら平気みたい(ホッ)。左腕の筋肉痛は気のせいでしょう(笑)。100キロ越えの子とかいなくて、本当に良かった。
 さて、相変わらず小ネタに苦労しつつも、男レースに行ってみましょう!
 タイトル。『ジョイトイ 〜黄金の指をもつ男〜』


 事件は会議室で起こってるんじゃない! 原〜東田子の浦間の踏み切りで起こったんだ!
 さて、何が起こったのかと言いますと、僕が折り畳み自転車のギアを換えた瞬間、ガチャガチャガチャという嫌な音と共に、自転車が動かなくなったのです。
 僕は慌ててランナーのジョイトイを呼び止めました。
ジョイトイッ! ストップ! ストップ!」
 踏切を抜けたところのスペースに自転車を止め、確認してみると、大方の予想どおりチェーンが外れていました。普通、使用2回目(それも1回目は、試走に町内を軽く走った程度)の自転車のギアが外れるなんて、ありえねぇだろ……。
「やれやれ、弱ったな。どうしたもんだか」
 途方に暮れた僕が、ジョイトイに話しかけると、彼は無言のまま自転車に近づいていきました。
 何をする気だ……そう思った次の瞬間、
「オアタッ!」
 彼は人差し指でチェーンを一突きしたのです。そして振り向き様に僕に言いました。
「こいつはもう直っている」
「え?」
 呆気にとられながらも、自転車にまたがってみると、本当に走れるようになっていました。まさに神の1手! 僕が彼に感謝の念を抱いたのは、たぶんこの日これが初めて(最初で最後?)だったと思います。
「おお、動くよ。ジョイトイさん!」
「フム、たやすいことだ。しかし、この様子だと、もう変速機は使わない方がいいかもしれん」
「ああ、そうだな」
 まったくだと頷きつつ、変速機を見てみると、なんと6段変速うちの5段階目(2番目に重い)を指しています。チッ、平坦な道はいいとして、坂道もこれかよ……。
 先が思いやられつつ(Mだから少しゾクゾクしながら)も、再出発した僕らは、11時10分。東田子の浦駅に到着しました。
 あ、そうそう、東田子の浦では、僕がポーズを考えているうちに、ジョイトイがシャッターを押してしまい、チェーンを直した功績もすっかりどこへやらといった猛烈な勢いで、僕に怒鳴られていたよ。南無ゥ。 (つづく)