男レース 三島〜清水60キロ (第11話)

 断言します! 今日の小ネタは(久々に)オモシロイ(と思ふ)! ( )の多さから、緊張感がうかがえます(笑)。
 数日前、僕が夜のランニングに行こうと部屋を出たときのことです。廊下に雑誌の束がおいてありました。どこかで見た雑誌だな……って、俺のじゃん! ババァ(おかん)め、また勝手に人の部屋のものを片付けやがって。仕方ねぇな……。
 と、思っていた僕の顔が、突如として蒼白に。ぬわぁんと、雑誌の合い間に、俺の思春期を支え続けてくれた歴戦のツワモノ達の姿がッ! まぁ要するに、おかんが俺のエロ本を処分しようとしているのです! 勝手に! うちのおかんの性格上、何も言わずにこいつらを捨てるのをやめてくれと言ったところで、黙ってきくはずもありません。
 黙っていりゃよォ、黙っていりゃ、何事もなく済むとはいえよぉ……大恩ある股肱の臣が、火葬されようとしてるのを放っておけるかッ! 劉備だって、孔明関羽張飛がピンチだったら、助けに行くだろうぜッ(なんじゃそりゃ)!
 こうして僕は外へと走らず、親の部屋へとダッシュ&シャウトッ!
「てめぇ、俺のエロ本を勝手に捨てるんじゃねぇぇぇぇッ!」
 こうして僕は、誇りをかなぐり捨てて、大事なものを守り抜いたのです。
 男には一生に何度か、命懸けで闘わなきゃいけないときがあるんだ!
 ……続きまして、男レースです。いつもよりはおもしろいと思うよ。


 東田子の浦駅から、僕がサード・ランに突入。日焼け止めを塗りなおして気合十分だったのですが、体内に溜まった乳酸は正直で、明らかにペースダウンしていました。農家のおじさんのトラクターにも平気で抜かれる始末(遅)。超スローペースながらも、なんとか吉原駅に着いたのが、11時50分のことでした。
 続いてジョイトイが、サード・ランに移ります。しかし、このとき彼はまだ、これから自分の身に訪れる残酷な運命を知るよしもありませんでした……。
 吉原駅を発ってから数十分後、僕達2人はあることに気付きました。道がない! どうやら吉原駅の南口は港に直結しており、北口からでないと、富士方面には行けないみたいです。結局僕らは、あぶない刑事が銃撃戦をしていそうな湾岸の倉庫地区(さもしいイメージだ)を迂回し、北口に抜け、晴れて富士方面に向かいました。しかし、不幸はこれで終わりませんでした……。
 実は僕、何回行っても富士の地形が理解できないんですわ。それでもまぁ、西に向かってりゃ、どうにかなると思っていたんですが、それが大誤算。自転車で誘導しているうちに、どこがどうだかさっぱりわからなくなってしまったのです。ただ走っているジョイトイに、道に迷ったと告げる勇気もなかった僕は、分かりきっている顔をし、
「富士〜吉原は、1番距離が長いところなんだよ」
 と、いけしゃあしゃあと虚言を並べ、右往左往していた次第です(極悪人)。ようやく富士駅を見つけたときは、ホッとしたなぁ。
 この場を借りて、ジョイトイに謝ろう! 俺はあのとき、完全に道がわからなくなっていた! すまん。 
 結局、僕のミスリードも手伝って、彼は炎天下の中、1時間45分(!)ぶっ続けで走らされる悪夢を見ることに。いやはや、それだけ走れるんだから、たいしたもんだ(おや、誉め殺しを始めたぞ)。
 富士駅までの残り数百メートルのところで、走っていたジョイトイが突如として僕の乗っていた自転車に激突してきて、僕が自転車ごと街路樹に突っ込んだのは、きっと偶然であって、報復テロじゃないと、僕は信じているよ(笑)。 (つづく)