Bー1クライマックス どうして忘年会で血が流れるんだ (第5話)

 昨晩、午前4時まで遊び歩いた挙句、5時半に就寝。11時半に起床し、NOVさん、ジョイトイを(無理やり)集合させ、ラーメン屋の新規開拓に向かう……これ以上ない破滅的な生活。未だに正月気分が抜けておらず、困ったものです。
 そんなラーメン屋の帰り道、NOVさん曰く。
「はじめてじゃないすか? 美食倶楽部で、名前らしい活動をしたのは」
 言われてみれば、そうですね……。まぁ楽しかったから、良かったのではないでしょうか。
 さぁ、続いて新年も明けて久しいですが、まだまだ忘年会の話ですよ。



 10年越しの恋に決着をつけるために旅立ったキクチのことを、あっという間に忘れて僕らがボウリングに興じていると、おずおずとキクチが帰ってきました。
 あれ、もう撃沈したの?
 慰めの言葉を探す僕に、彼は告げました。
「……やっぱり1人じゃ声をかけられねぇ。ゲン、お前、ついて来てくれよ」
 なっさけないのぅ、キクチちゃん。
 それでもアイ○ルのチワワのような潤んだ目で、助けを求めてくる彼を、僕は放っておけませんでした。
 ほんならワシが、一肌脱いだるわぁ。
ジョイトイ、NOVさん、ちっとキクチに付き合って行ってくるので、しばしのご猶予を下さいませ」
 こうして、僕とキクチは、キクチが熱をあげる女の方へと向かいました。途中、僕がキクチに声をかけます。
「おい、目標は今どこにいる?」
「あの自販機が並んでるあたり」
「……4人ぐらいいるな。どいつだ?」
「今は背中を向けちまってて、顔が見えねぇ。ほら、あのモスグリーンのセーターを着た子だよ」
「モスグリーン? それは、どんな色だ?」
「……もういい。とにかくあの後ろ向いてる子だよ」
「しかたねぇ。ジュースを買って、振り向きざまに声をかけるか」
「お願いします!」
 作戦成立。さっそく飲みたくもないコーヒーを買い、振り向いたときです。一瞬早くジュースを買い終えたキクチが、猛烈な勢いで僕にタックルを仕掛けてきました。
 裏切りかぁァァァッ!
 思いがけない不意打ちに、対処することもできず、僕はずるずると彼に引きずられ、目標から遠ざけられました。
 彼の力が抜けたところで、僕が彼に問いただします。
「何すんだよ、おめぇ! まさかこの期におよんで怖じ気づいたとは言うまいね?」
「ゲン、スマン! まったくの人違いだった!」
 は、はいィィィ? ど、どういうオチだ? こいつは、ずっと好きだった女を、あっけなく間違えたというのか……。2005年末、奇跡を目の当たりにした瞬間でした。
 すっかり脱力した僕とキクチは、別に欲しくもなかったジュースをかかえて、とぼとぼと自分達のレーンに帰っていったのでした。
 次回、ゲンのキクチに対する驚天動地の反撃(=言葉のいじめ)が始まる! さらには画像復活! (つづく)