ゲン、拉致される(第1話)

 いつものシリーズ終了後の小休止をとることもなく(誉めて、誉めて!)、今日から新しいシリーズが始まります。今作は旅に戻るので、忘年会の作風が肌に合わなかった人は安心して下さいませ。全8話。自分で言うのもなんですが、ゆるーい感じで話が展開するので、脱力して読んでもらえればと思います(笑)。
 広報終了。続いて小ネタに参りましょう!



 複雑に入り組んだ現代社会に鋭いメスを入れる探偵イブニングスクープ! 局長のゲンです(またしてもパクりですみません)。さて、今日のご依頼は、静岡市内にお住まいのジョイトイさんから。
『探偵のゲンさん。こんにちは。私は市内の企業に勤める会社員なのですが、あるとき職場で気になる話を耳にしました。静岡市北部にある竜爪山をひたすら登っていくと、旧清水市の奥地に繋がっていると言うのです。位置関係からして、私にはとても信じられません。そこで探偵さんにお願いです。事実を確認するために、私と一緒に竜爪山を登ってもらえませんか? よろしくお願いします』
 こうして僕、ジョイトイ、NOV、ホリコ(いつものメンバーづら)は、これまたいつものようにラーメン屋での昼食を終えたのち、竜爪山へと向かったのです。休みの日に2日連続で職場の前を通過しちまったぜ。チックショー! ……すみません。取り乱しました。
 車でのすれ違いが相当困難な難所を、ホリコの巧みなドライビングテクニック(また彼が運転です。ホント、申し訳ないっす)と、持ち前の運の良さで、僕らはひたすら山道を登ります。静岡の
街並みが一望できる見事な景色を横目に、僕らは山頂の神社までやって来ました。
 感想は……寒ッ! 手を洗うとこの水、凍ってつららになってんじゃんッ! ジョイトイ上着をむしりとって、なんとか暖を取って命拾いした僕(サイアクダ)は、早々と車に引き上げました。
 長くなりそうなので、1回引っ張ります!
 ではでは、新シリーズをどうぞ〜。



 みなさん、知ってました? 1月1日は、僕の誕生日なんで国民の休日になっているんですよ。……あ、ヤダ、そんな刃物なんて持ち出さなくても、冗談ですってば(誕生日が元旦なのは本当です)。
 そんなわけで、新年早々、世界各地にいる俺の女達が、入れ替わり立ち代わりで貢物を置きにきて、すこしもゆっくりできやしねぇ……って、はい、また刃物を取り出さなくても結構ですよ。実際のところは、誰も来やせず、午後になってもパジャマのまま、こたつに入って、チューハイ飲みながら正月番組を眺めていただけでしたから。切ないだって? バッキャロウッ! これが誕生日の究極の過ごし方じゃねぇか。ガタガタ言うんじゃねぇッ! ……この涙は、ワサビが目に染みただけづら。
 それは、もうどうでもいいやと思いかけた昼過ぎ(元旦からして無気力)。僕の携帯が鳴りました。相手は、忘年会で八面六臂の活躍を見せて、ジョイトイと並んで、このブログのエースに就任したキクチ。
「ゲン、どうせ誰もお前の誕生日なんて祝ってないだろうから、俺が誕生日プレゼントを買ってきてやったぞ」
「大きなお世話だ。ありがとう」
「今から家の方まで届けてやる。ちょっと待ってろ」
 間もなく、僕の自宅にキクチがやって来ました。
「ほらよ、プレゼントだ。おもしれぇだろ?」
 よこしたのは、悪酔いはやめましょう的なポスター。
「礼は言わねぇぞ……また置き場所に困るようなものをよこしやがって」
「強がるな。俺がやらなきゃ、誰にも何にも、もらえないだろ、お前。それにしても汚ったない部屋じゃのぅ」
「うるさいよ」
 核戦争後のような有様の僕の部屋に呆れながら、彼はこんなことを言い出しました。
「ところでさ、初詣いかねぇ」
「初詣ぇ? いったいどういう風の吹き回しだ?」
「いやね、弟が外で年を越してきたってのを聞いたら、家でテレビ見て年越した自分が、妙にむなしくなってな。それでまぁ、初詣にでも、と思ったわけさ」
 なるほどね。面倒くさいけど、どうせやることもない(寂)から行ってもいいかな。
「別にいいけど、このままの格好(パジャマ)でいいか?」
「……俺から離れて歩けよ」
「わかったよ。うるせぇな」
 こうして正装(ジャージ)した僕は、キクチと共に自宅を出ました。家を出たところで、2人だけじゃ寂しいと、キクチがおもむろにNOVさんにTEL。たぶん無理だろうなと思って、さげすんだ目で見ていると、なんとアポを取り付けた様子。やるなキクチッ!
 こうして僕らは、初詣に行くことになりました。 (つづく)