原付の旅③ 清水〜伊良湖岬380キロ (第10話)

gen-19812006-03-27

 大学女子寮。そこは入寮者の男性家族さえ入ることを許されぬ禁断の地。
 男はね、誰でも一生のうち1回は、女子寮への侵入ってのを夢見る。程度の差はあるけど、これは誰でも夢見る。
 俺、夢、叶いましたよ!
 あ、セイセイセイセイ。合法的(?)になんで引かないで下さいよォ〜。
 別にいい匂いがしたわけでもなく、中には管理人のおばさんしかいなかったんで、これといった収穫はなかったのですが、それでもなんだかいい気持ちになれました。
 うんうん、わざわざ他県まで行った甲斐があったというものだ(どういう状況かは、ご想像にお任せします)。
 さぁ、続いて佳境に入った本編。
 土産物屋のおばちゃんに脅迫まがいの哀願をするワシもカッコイイよ。



 大ハマグリを求めて、土産物を探す僕でしたが、地方の個人商店が午後7時を過ぎてもやっていることは、稀有みたいで……姉さん、ピンチです。軒並み、土産物屋が閉まっています。
 しかし、捨てる神あらば拾う神あり。1軒だけ、明かりのついている土産物屋を発見しました。さっそく店の前まで行き、原付を停車します。
 するとちょうど外に出てきたおばちゃんが、僕に告げました。
「お兄さん、今日はもう閉店だよ」
 ガビーン! (安田大サーカス風で)ドン、ドン、ドン、クローズ! ドドンドドン、オチでぇす!
 確かにハマグリを焼いていたであろう網は片付けられている様子。
 まぁいい。この際、ハマグリを焼けとは言わん。……でも何かそれっぽい土産を買って帰らぬことには、月曜日に職場の人に(特にM係長)、ホントに行ったのかと疑惑をかけられることは必定! 土産だけは是が非でも手に入れねばならんッ!
 営業職の直感が本能に囁きます。
 ……このおばちゃんは落とせる。
 そうと決まったら、レッツ、アイフルのチワワ作戦! 潤んだ瞳で情に訴えるのだ!
「俺、清水から原付で6時間半かけて、ここまで来たんすよ。なんとか土産、売ってもらえないすかねぇ……?」
 (昔のアイフルのCM風)どうする、おばちゃん〜。
「いいよ。売ってあげる」
 見たか、ボケッ、コラァッ!
 俺が職場でなんて呼ばれているか知ってるかい? キラー(殺し屋)だぜ(嘘)。
 とにもかくにも、土産を手に入れることに成功しました。
 上機嫌で、原付に跨る僕に、おばちゃんが声をかけてくれます。
「気をつけて帰りぃよ」
 ……遠州の空っ風で、唇が乾燥してズタズタに裂けてさえいなければ、俺の唇でアンタの唇を塞いでやるとこだ(笑)。
 こうして最低限の目標を達した僕は、伊良湖岬を発ったのでした。時刻は既に19:30過ぎ。
 エンタの神様に間に合わねぇー!
 写真は……まっくらで伊良湖岬灯台のが撮れなかったので、御前崎灯台で雰囲気だけでもお楽しみ下さい(我ながら適当だなー)。 (つづく)