原付の旅③ 清水〜伊良湖岬380キロ (第12話)

gen-19812006-03-31

 試験に出る現代社会。西暦2006年3月31日、第2次奴隷解放宣言。……意味のわかる人だけ笑って下さい。
 それよか、なんかさっきからケツに刺すような痛みが繰り返し起こります……死んだら、住所を知っている人は、香典を置きに来なさい。嗚呼、いきなり理不尽ですみません。
 それでは本編へ。
 道に迷っていることすら忘れるワシもカッコイイよ。



 原付を休ませる時間を稼ぐためだけに、僕はジョイトイに電話をしてみました。
「ほい」
「……なんだよ? なんか外にいるみたいだが?」
「今、浜松で道に迷ってんだが、原付を休ませなきゃならんもんで、コンビニで休んでるところだ」
「浜松? 何をやってんだ?」
「ちぃっと、伊良湖岬を見にな。その帰りだ」
 普通なら、ここでビックリする(ドン引く)ところですが、僕のバカさ加減に耐性がついている彼や、他の友人達は、もはや驚きもしません。それどころか、彼はこんなことを言い出しました。
伊良湖って、愛知だろ。俺も今日、愛知の豊橋に行って来たんだよ。ブラリ旅に」
 ジョイトイのブラリ旅とは、(彼の中で)ある程度メジャーな駅に行き、何するわけでもなく駅周辺をぶらつく、目的のよくわからない企画でございます。
豊橋だって? ……俺も豊橋市を通過したぞ」
「ゲンさんも、豊橋に行ったのか。ふぅん」
 ……ヤバイ。2005年美食倶楽部奇人変人大賞候補者のジョイトイと、なんの打ち合わせもなく、同じ日に同じ場所に行ってしまった! なんたる不覚ッ! シンクロ、クワッ!
「……そうだったか。無念だ」
「無念て、どういうことだよ、おい!」
 ショックのあまり、僕は早々に電話を切りました。
 うなだれながらも、早々とコーヒーを飲み乾して、僕は原付で出発しました。そして忘れていた記憶を思い出すわけです。
 ああ、俺、道に迷っていたんだと(笑)。バカですねぇ。
ですが、1休憩して元気になった僕には、勢いがありました。
 燃えろ、俺の小宇宙(コスモ)、目覚めろ、俺の第7感(セブンセンシズ)! 私が1号線にやって来た150号線へ続く道は、この道で間違いございません!
 本能の赴くまま、気の向くまま。僕は国道1号線を右折!
 しばらくの間は、正しい順路だったと思っていたのですが、進むにつれ見覚えのない景色であることを認識せざるを得なくなったわけで……。
 気がついたときには、僕は大凧祭りの会場と思しき公園にたたずんでいました。
 どこじゃぁッ、ここぁッ! (つづく)