原付の旅③ 清水〜伊良湖岬380キロ (第14話)

gen-19812006-04-05

 先日、本を読むだの何だの書いた挙句、本を開いた瞬間、眠ってしまったものです。そして気がつけば朝。……いやぁ、春眠、暁を覚えずですなぁ(寝すぎだよ)。
 テレビも特番ばっかでおもしろくないし、さっさと本編に行きましょう。
 筋肉が硬直するワシもカッコイイよ。




 セルフを出た僕は、ひたすら150号線を東へと向かいます。真っ暗であまり車も走っていない道を延々と。……本当に延々と走っていただけなので、特筆することもないぐらい、ひたすらに走っていたのです。
 そんな僕を哀れに思ったのか、笑いの神が、僕に笑えぬアクシデントをくれました(笑いの神のくせにね)。
 ある地点に到達したところで、目の前の信号が赤になりました。当然、止まろうと思い、ブレーキをかけるのですが、原付は止まらず前進を続けます。停止線を越えても止まることなく前進。このままじゃ普通に信号無視! ていうか、車が出てきたら天に帰っちまう! 僕は必殺の足ブレーキ(靴に大ダメージ)を繰り出し、停止線を越えること数メートルの地点で止まりました。
 いったい何事が起こったのかと、確認すると、僕はあることに気がつきました。右手が普通にアクセルを捻っているのです。アクセルを捻ってりゃ、そりゃ止まらないわな。
 ……読者の皆様の大半が、上記の文書の意味を理解し難いことでしょう。なので、解説をします。以下、若干生物の授業。
 信号を赤だと認識した僕の脳は、手にブレーキをかけるよう指示を送ります。しかし、あまりの寒さゆえ硬直した手の筋肉は、意思とは無関係にアクセルを捻り続けたのです。結果、止まろうと思っているにも関わらず、原付は前進を続けたわけですね。いやぁ、こんなことって、本当に起こるんですねぇ。ビックリ。
 人体の神秘に驚きながらも、そろそろ休まなきゃ命に関わることを痛感した僕(笑)は、小休止を決意します。すると、おあつらえむきに、左手に場に不釣合いな大きな赤鳥居が見えてきました。目を凝らして見ると、『桜ヶ池』と書いてあります。それっぽい名所の予感。
 よし、ここで一休みしよう。
 僕は原付のハンドルを左方向へと捻りました。
国道を折れて、1〜2キロ進んだところで、神社発見。さっそく原付を降りて、社内へと足を踏み入れます。
 それにしても夜の神社ってのは、不気味なもんですなぁ。こんなこと言ったら、バチが当たりそうだけど……風に揺られた絵馬が音を奏でる中、薄暗い小道を進むのは、結構なもんだ! まぁ筋肉の硬直によるブレーキ不能よりは怖くないから、俺は進むんだけどね。
 そうこうしているうちに、闇夜に広がる大きな池を発見。
 ほぅ。ここが桜ヶ池。
 とりあえず記念にと、池の中心部にあった石碑をデジカメでパチリ。
あとから聞いたところによると、この池は龍神が住むと言われているミステリースポットだそうです。ああ、だから石碑に『龍神』とか書かれていたのね(気付くの遅ぇ)。
 あまり長時間いるようなところでもない気がした僕(やることもないしね)は、1とおり見学を終えると、原付へと戻りました。 次回、最凶最悪事件勃発! (つづく)