原付の旅③ 清水〜伊良湖岬380キロ (第15話)

 昨日は酔っ払って眠ってしまいました。どうもすみません。
 佳境を向かえた原付の旅③ですが、本日、クライマックスです。その心は、次回は最終回なので、そんなに荒れない(はず?)から。
 しかし、この企画の連載が終わったら、次に新企画をやるまで、ネタがねぇなぁ。騙し騙し小ネタでもやろうかな。
 てな具合で考えているので、何かリクエストがあれば、コメント下さい。
 それでは本編を。止まった原付を引きずって歩くワシもカッコイイよ。



 桜ヶ池をあとにした僕は、再び原付に跨ります。
 まずは150号線に戻らねば。
 そう思って発進し、最初の信号で止まったときに、事件は起きました。
 赤信号でブレーキをかけて車体が止まったと同時に、プスッと音を立てて、エンジンまで止まったのです。
 ありゃりゃ? 仕方ねぇなぁ。
 最初は何でもないと思ってセルを押し直したのですが、エンジンはかからず。
 あれッ? おかしいな……。
 2度、3度試してみるのですが、いっこうにエンジンはかかりません。只ならぬ気配を察した僕は、車道から歩道に原付を移し、再びセルを押してみます。しかし、何度となく試すもエンジンは完全に沈黙。
 ヤバイ。エンジン、ヤケタ。
 いやいや、目の前が真っ暗になるとは、このことなんでしょうな。
 最寄の駅まで行って、原付を放置し、朝まで待って、電車で帰る。
 近く(とは言っても30キロ先)の母親の実家まで原付を引きずって行って置かせてもらい、自分は東名バスで帰る。
 ……などなど、数通りの救済策が頭をよぎりました。
 しかし! まだローンの残っている(当時)カワイイ原付を放って帰ることなど、僕にはできません! ちゅーか、ワシは、この企画を達成せねばならのじゃいッ!
 そんなこんなで僕の達した結論! しばらく休ませた上で、もう1度試してみる。最悪、ホント最悪の場合は、家まで原付を引きずって帰る! ……モノノフだねぇ。
 巨人の星のテーマ(♪思い込んだら 試練の道を〜)を口ずさみながら、原付を引きずり歩き、150号線まで達したところで、僕は再び原付のセルを押してみます。しかし、エンジンはかからず。
 ムムム……こいつは深刻にやばい。
 弱りきった僕でしたが、一先ず初心にかえって(?)、携帯している取扱説明書を読み返してみることに。街灯の下に移動して、一読してみると、『エンジンがかかりにくい場合は、アクセルを捻りながら、セルを押して下さい』との文言が。
 これぞ最後の頼みの綱。
 動けッ、動けッ、動けッ! 今、動かなきゃ、一徹+明日(日曜)1日かけて、家まで原付を引きずって帰らなきゃいけないんだよッ! そんな日曜、嫌なんだよッ! お願いッ、動いてよッ(エヴァンゲリオン弟19話風にお読み下さい)!
 万感の思いを込めて、セル、プッシュッ! すると……エンジン復活! ダァァッッ!
 どうやら完全に神に見捨てられてはいなかったようです。良かった、良かった。
 心底、ホッと胸を撫で下ろしながら、僕は再び原付で走り始めました。 (つづく)