美食倶楽部幹部会 (第3話)

 いやいや、巨人が強くて何よりです。やっぱり生え抜きが活躍すると見ていて楽しいですよね。さてさて、巨人が頑張るので、僕も頑張って書かねば。
 今日も新企画の要綱説明の大事でない部分(割愛しろよ)なので、流して読んで下さい。



 ゲンが美食倶楽部版スゴロクこと、『素誤露苦』について解説を始める。
「いいか、いくら『素誤露苦』と言っても、基本は普通のスゴロクと同じだ。サイコロを振って、出た目を進む。一線を画すのは、そこからだ」
「と、言いますと?」
 合いの手を打ったのは、ジョイトイ
「うん。進んだ先のマスには、様々な指示が書いてあってな。その指示を実行することで始めて進むことが許されるわけだ。指示に従えない場合は、出た目の数だけ戻ってもらう(戻った先の指示には従う必要なし)。また指示に従ったものの、十分な成果を得られていないと判断された場合も、出た目の数だけ戻ってもらう」
「その判断は誰がするんで?」
 疑問を投げかけたNOVにゲンが応える。
「居合わせた全員の判断で。……なぜこんなルールを敷いたのかと言えば、指示の内容を流して済ませようとする輩を排除するためだ。例えば、『5分間、漫才をする』なんて指示が出たときに、黙りこくって、サイレントのまま5分経過されたときには、同じ指示が出た瞬間、『できませんッ』と言って、出た目の数だけ戻る決断をしたのと同じ扱いにしなけりゃおかしいだろう。但し、5分間精一杯漫才をやってみたものの、ダダ滑りだった場合は、もちろん出た目の数だけ進んでいいこととする。まぁ誠意の見られない行動を採ったときにのみ、摘要されるルールだと思ってくれ」
「なるほど、そういうことならフェアですね。……ですが、恐れながら、この企画には1つ問題点があるかと」
「なんだ? 言ってみてくれ」
「冷静に考えてみて下さい。仮に今企画への参加者が10人いたとしましょう。そして神がかり的な確率で、全員が最初にサイコロで1を出したとします。加えて1マス目の指示が、『5分間の漫才』だったとしましょう。そしたら単純計算で1時間弱、素人漫才が続くことになります。そんなことが現実に起こったら、間違いなく2006年最大にして最高の悲劇になるでしょう。……今のは極端な例にしろ、似たような事態が発生したら、企画の興ざめは免れないと思います」
 もっともらしいNOVの指摘だったが、ゲンに取り乱す様子はない。それどころか自信満々の態だ。
「その心配はいらねぇ」
「と、おしゃいますと?」
「今、NOVさんが指摘した点は、俺も気になった点だった。確かに個人で企画にエントリーされた日にゃ、時間効率も悪ければ、同じ指示が頻発され、現場が興ざめする恐れは十二分にある。そこで俺は考えた。個人戦じゃなくて、チーム戦にすりゃいいんじゃないかって」
                                  (つづく)