さよならマーチの旅 (第1話)

美食倶楽部会員名簿① ゲン


 お笑い極道集団、美食倶楽部2代目会長。いつも変な企画を考えては、会員達に強硬させる迷惑極まりない男。ボケも突っ込みもするが、基本的にはボケ。また超がつくほどのドMで、大概のことには耐える。ちゅーか、いつもこれ書いてるワシのことじゃッ! ここでウダウダ書くよりも、ブログを見直してもらえれば、どんな人間かわかると思います。顔と頭だけでなく、最近では体の調子まで悪い。笑いのためであれば、ゴキブリをも素手で殴り殺す蛮勇の持ち主。
出演作:全作

* サクライガーさんの書いてくれた似顔絵ですが、僕の分はありません。理由は、ご本人の顔が僕に似ていて、自分の顔がばれそうだからとのこと(笑)。次から載せます。



 7月某日。
 この日、帝国ホテルの1室は、報道関係者でごった返していた。彼らの目的は、もちろん美食倶楽部会長ゲンによる新企画の発表記者会見である(笑)。
 ゲンが壇上に姿を見せると、ざわついていた会場は、水を打ったように静まりかえった。ゲンが席についたところで、進行役の男が言葉を発した。
「それでは定刻となりましたので、これより美食倶楽部会長ゲン様より、新企画の発表をして頂きます。それではゲン様、よろしくお願い致します」
 進行役の男に続き、ゲンが話し始める。
「では私の方から、新企画の発表をしたいと思います。えー、私ですね、車はマーチに乗っておるのですが、そのマーチね、平成9年式のマニュアル車で、ホント、ポンコツなんですよ。だもんですからね、10月の車検に際して、オシャカにしようと思っています。そこで廃車になる前にね、マーチで思い出づくりしようと考え、思いついたのが、この企画です。発表します。美食倶楽部主宰の次なる企画は、『マーチで行く日帰り琵琶湖1周の旅』です!」
 おおー、という歓声が会場中から上がった。その声がやむ前に、進行係の男が会場に告げる。
「それでは質疑応答を行いますので、質問のある方はどうぞ」
 いっせいに各記者が挙手するのを、進行係の男が指名する。指名された男は立ち上がり質問を開始する。
ナチュラル・ジョイトイ社の者です。よろしくお願いします。今回の旅ですが、開催日はいつですか?」
「7月8日です」
 応えたのは、もちろんゲンである。ナチュラル・ジョイトイ社記者の質問は続く。
「琵琶湖1周の旅ということですが、静岡から琵琶湖までは、だいぶ距離がありますよね。滋賀までは高速道路を使うおつもりですか?」
「いえ、高速道路は使いません」
 またも会場に驚きの声が上がる。ゲンがその真意を語る。
「高速を使えば確かに楽ですが、アレには旅の情緒ってヤツがありません。下道で各地の風景やら、名所やらを楽しみ、たまにちょっと途中下車するから面白いわけじゃないですか。新潟のときも、往路は下道でしたので、少なくとも片道は下道を使うつもりです」
 なんか記者会見風にしたら、面倒くさくなった(いつものことや)のですが、次も記者会見風にやってみます。 (つづく)