さよならマーチの旅 (第2話)

gen-19812006-08-02

美食倶楽部会員名簿② キクチ


 美食倶楽部副会長。ロシア生まれの三ケ日育ち(嘘)。『ブス・即・斬』を唯一無二の己の信念として生きている。好みの女がいるときのテンションの高さは尋常ではないが、逆に好みのタイプでない女に対する態度の冷たさは、シベリアのブリザードにも勝る。忘年会で好きな女を見間違えた挙句、罰として、ウミガメの産卵ポーズをさせられたのは、記憶に新しいところ。また好みでない女にメアドをせがまれた際に、次長課長河本風に発した「お前に教える個人情報はねぇ!」の一言は、もはや伝説。
出演作:忘年会、ゲン拉致される、素誤露苦



 質疑応答は続く。
ペレストロイカ・キクチ社の者です。よろしくお願いします。今回の旅で、下道を使うとのことですが、相当長時間の運転をすることになりますよね? 運転は交代でされるつもりですか?」
「交代はしません」
またも会場がどよめく中、ゲンが真意を明かす。
「マーチの自動車保険が、家族限定で入っておりますので、僕が1人で運転します」
「大丈夫なんですか?」
「Mなんで」
「期待しています」
 次の質問が始まる。
「ダミアン666社です。よろしくお願いします。えー、どの方も気になっていると思うので、今回の旅の参加メンバーを教えてもらえますか?」
「ええ、では発表します。マーチは5人乗りですが、後部座席に3人乗っての滋賀行きは、ほとんど罰ゲームの様相を呈しますので、今回の企画は4名で行くことにしました。その4人は、私、ホリコ、無双祭……クロさん。以上です」
 この日、一番の驚きの声が会場を包んだ。質問した男が、ゲンに確認する。
「今の話を聞く限りでは、キクチ氏もNOV氏も、そしてジョイトイ氏も参加しないとの認識でよろしいのでしょうか!?」
「はい」
 またしても、どよめきの声が上がる。
「無礼を承知でお訪ねします! その4人で笑いが取れるんですか!?」
「安心して下さい。笑いをとってなんぼの美食倶楽部です。では、これにて」
 記者たちが、まだ質問が終わっていないと憤りの声をあげる中、ゲンは会場をあとにした。
 翌日の新聞には、次のような見出しが躍った。
『琵琶湖1周、3本柱不在!』
『ゲンは、随分ジョイトイに助けられたはず。なぜ? 内紛か!?』
 ……とまぁ、2回に渡って、記者会見風にお送りしましたが、要するに僕1人の運転で、ホリコ、無双祭さん、クロさんと共に、マーチで琵琶湖を1周しに行くわけです。ジーコのW杯の選手選抜を見ていて思いついたんですけど、イマイチでしたね(苦笑)。
 次から本来の形式で、琵琶湖を目指します。 (つづく)