さよならマーチの旅 (第3話)

gen-19812006-08-04

美食倶楽部会員名簿③ NOV


 美食倶楽部重役。美食倶楽部の誇る只1人の常識人で、癖のない男。それでも何でも気狂いじみた企画を、数々こなしてきた百戦錬磨のツワモノ。日帰りで新潟を往復させられたり、正月から諏訪まで連れ出されたりと、肝心な企画にはことごとく参加し、屋台骨を支えている。
出演作:新潟の旅、忘年会、ゲン拉致される、素誤露苦



 7月7日。
 七夕とか全く関係なく、僕はこのブログにもよくコメントを下さるサクライガー兄貴の店を訪問し、フィリピン人に日本の不味い某ジュースを飲ませて楽しんでいたところです(国際問題じゃねぇか?)。
 今回、仕事が多忙を極めているため、不参加の旨を発表していたジョイトイから、着信がありました。
 まさか、今さら明日行けるようになったんで、よろしくとか言い出すんじゃねぇだろうな?
 帰宅後、恐る恐る電話してみると、
「明日、上司に無理言って、休ませてもらうことになったんだけど、もし席が空いていれば参加したいんだが?」
 とのこと。嫌な予感的中!
 遠出する以上は、人数が多い方が楽しいので、僕は既に3人の仲間と行くことを決めていました。マーチは5人乗りなので、ジョイトイの参戦も物理的には不可能ではないのですが、後部座席に座る人の窮屈さを考えると、いささか来てもいいとは言えません。
「悪ぃな。せっかくだが、もう席は埋まっちまったよ。おめぇが、今回は不参加って、前もって断言しちまったこともあるし、今回は諦めてくれねぇか?」
「そうだな。それじゃあ仕方がない。もし席が空いてたらと思ったもんでな。……ただ1つ、頼まれてくれないか?」
「なんだよ?」
「土産を買ってきてくれないか?」
「ハァ!? それって、俺が自発的に思うことであって、お前が言うことじゃねぇだろうが!」
 とうとうキレ勾配になった僕を、彼はなだめます。
「いや、俺のためにじゃない。ちっと会社に配りたいもんでな。20個入りの饅頭みたいのを頼むよ」
「そういうことなら、買ってきてもいいけぇが……自分が行ってない旅行の土産を会社に配る意味ってあんの? 本末転倒じゃねぇ?」
「つべこべ言わずに買ってきてくれよ。そうすりゃ万事うまくいくんだから」
「万事ねぇ……まぁ、そこまでいうなら」
「よろしく頼む」
 そんなこんなで電話を終えると、午前1時過ぎ。ちなみに起床は午前3時半。……2時間も寝れないやないのッ! チックショー!
 ジョイトイへの憎しみに心を支配されながら、僕は眠りに着きました。 (つづく)