さよならマーチの旅 (第11話)

gen-19812006-08-23

美食倶楽部ではないお友達④ クロ


 ゲンとは幼稚園から高校まで同じ学校を出ている腐れ縁な人。さすがに大学は別々だったので、疎遠になりつつあったが、昨年、地元に戻って来たことで、美食倶楽部にも参戦するように。当ブログには未収録であるが、1年前に初参戦した美食倶楽部主宰企画『利き茶大会』の罰ゲームで、いきなり毒霧噴射を顔面に喰らい、鮮烈デビューを飾った……って、本当にすみません。ホリコと仲良し。
出演作:さよならマーチ



 車から出た僕らが目指したのは、言うまでもなく近江牛です。
 しかし、無料駐車場に目が眩んでしまい長浜城まで来てしまった僕ら。食べ物屋がありそうな駅近郊までは、歩いては相当の距離があります。時間は既に1時半近く。のろのろ歩いていては、閉まってしまう恐れも。何度も言うように、それはあってはならんこと。
 すると、ホリコがあることに気づきました。
長浜城公園(長浜城は単品であるのではなく、公園やらプールやらテニスコートがある市民憩いの場の一角にあるのです)の中に、食堂があるみたいだよ」
 これまで長浜市内を快走して来ましたが、ここに勝る施設はなかったように思います。僕の頭の中で、とある公式が急速に組み立てられます。
 長浜1の観光スポット → 団体客用の食事どころがあるはず → 団体観光客には、その土地の名物を出すのが定石……ここに近江牛はある!
「ここに賭けましょう!」
 僕らは公園内の食堂を目指しました。途中、女子高生がテニスの練習真っ最中のテニスコート横にデジカメを持って突進してしまったりしましたが、我々、否、私は近江牛が食べたかっただけなのだ! 勘違いするでないぞ!
 そんなハプニングを乗り越え、団体客のあとについていくと(結局他力本願)、食堂つき国民宿舎を発見!
 無論、一目散に突撃し、腰掛け、メニューを開くと、そこには近江牛の文字がッ!
 ウィィィィッッッ!
 このとき、僕は勝利を確信したのですが、何度も書いているように、この日のメンバーは、頭が良い人達。僕のように単純ではなく、色々と考えるところがあるようです。
 メニューの一覧を見ながら、クロさんが言いました。
「『近江牛○○コース』ってのと、『焼肉定食』ってのがあるけど、案外『焼肉定食』なんて頼んだ日には、普通に輸入物の牛肉を使ってたりするかもね」
「それはあるかもしれないね」
 と、ホリコ。
 ガーン。そんなこと思いつきもしなかったぜ! しかし、単純バカだと思われるのは嫌だから、俺もそのことに気づいていたことにしよう。そんなわけで、俺もそれっぽいことを言わなくちゃ。
「せっかく、滋賀まで来たからには、近江牛と太鼓判を押されたものを食わなけりゃ、お話にならないでしょうな。カカカカカカ!」
「そうだよねぇ。俺、ちょっと訊いてみるよ」
 こうして、店員がオーダーを取りにきたところで、クロさんが尋問を開始したのです。すると、意外な展開が待ち受けていたのでした。
 次回のお話は、ちょっと難しいかもよ。
 あ、写真は長浜城! (つづく)