さよならマーチの旅 (第12話)

gen-19812006-08-25

 みなさま、ご無沙汰しております。
 登場人物紹介が終わったので、今日より小ネタ復活でございます。お喜びなさい(締めないで下さい)。
 で、記念すべき、復活小ネタ第1弾ですが、今日は美食倶楽部の人事異動の発表です。
 これまで美食倶楽部の会員からは外れるものの、数々の企画に参加し勇姿を見せてくれたホリコと、このたび正式に契約を結び、美食倶楽部の会員となってもらいました。おそらく彼の人生にとっては、マイナス以外のなにものでもないと思いますが(笑)、最近、体調不良を訴え、企画に参戦しないジョイトイに代わり、ガンガン笑いを取ってもらいたいと思います。
 さて、そんなホリコも登場している、さよならマーチの旅です。



* 今回の画像は、登場人物紹介の関係で、タイムリーに載せられなかった桶狭間古戦場です。逆光で時が読めないね(苦笑)。



「あのー、この焼肉定食に使われている肉って、近江牛なんですか?」
 クロさんは、せっかく滋賀まで来た挙句、近江牛でない牛肉を使った焼肉定食を食らったのでは、話にならんと、その辺を訊きたかったのです。
 すると、店員からは想定外の応えが返って来ました。
「あー、この際、ハッキリさせときましょ。一般的に言う近江牛ってのは、厳密な基準に基づいて育成された極希少価値の高いもんを指すんですわ。で、そんなヤツは、ほとんどが東京の有名店に送られてしまうんで、ここでお出しするのは、近江牛ではないんです。とはいえ、近江牛ブランドを冠につけられないだけであって、ほとんど同じような育成方法で育てた地元の牛なんで、美味しいと思いますけど。まぁ言うてみれば、近江の牛ちゅーことですわ」
 ガビーン! だったら、メニューに近江牛って書くなよ! めちゃくちゃ紛らわしいぞ。たぶんこれ、公共広告機構に訴えられたら、お前ら負けるぞ! 国民宿舎のくせに!
 ちゅーか、どうせ俺はバカ舌で、水道水とミネラル水もわからねぇようなやつなんだから、
近江牛ですか?」
「はい」
 って、一言いやぁ、近江牛を食ったもんだと、満足して帰るんだから、そのぐらいの気遣いは必要ちゃうんかッ(クロさんもしきりにそう言ってました。笑)!? 嘘も方便と申します。はい、無茶苦茶でございますね。
 とはいえ、この店員の独白に、僕らのグループだけでなく、隣にいたグループも、
「これ、近江牛じゃなくて、近江の牛なんだって……」
 と、顔面蒼白の様子。まったく人騒がせなやっちゃ。
 こうして美味しいには美味しいけれど、なんとなく気が抜けたような昼食を取らされたのち、午後2時、僕らはせっかくだからと、長浜城を見学することに。ちょうど今年の大河ドラマが、この城の城主を務めたことのある山内一豊を取り上げているせいか、便乗して山内一豊展なるものが開かれておりました。観光客もたくさん来ておったのは、この影響もあるのかと思いました。
 ある程度期待して場内の博物館に入ったものの……ひどいものです。なんでかといえば、山内一豊展と謳ったにも関わらず、展示物は江戸中期や後期のものばかり。戦国時代のものなんて、ほとんどないのです。これ、普通の博物館と変わらねぇじゃん。言いたいことをはっきり言ってしまう、ゲン&クロは周りの目も気にせず仕切りに、
「これはひどすぎる」
 と、連呼しておりました。なんか山内一豊が大河に取り上げられたから、とりあえず客寄せのたびに、それっぽいもの揃えて展示会みたいなノリが、どうしても許せなかったんです。腹立たしさに、自然と歩くスピードも上がります。
 僕らは早々に天守閣へたどり着きました。 (つづく)