さよならマーチの旅 (第22話)

 長々と続いた『さよならマーチの旅』も、残すところ今日を含めて3話です。
 で、困ったことに、その後の企画を実行してもいないし、考えてもいない次第です。 ふーん、弱ったなぁ。というわけで、今の話が終わったあとは、かなりグダグダの展開が待ち受けていると思われますので、覚悟しておいて下さい。
 それでは、人類と天然核爆弾ジョイトイの攻防をご覧下さい。



 僕の悪ふざけにより、ゲン大量鼻血出血による意識不明の重体との1報を信じたジョイトイ。最初は大爆笑だった車内も、徐々に引き気味の空気に(笑)。
 僕が呟きます。
「あいつ、なんだって、あの文体で信じちまうんすかね……」
「いや、まさか僕も信じるとは思わなかったよ……」
 クロさんと無双祭さんは、眠ってしまったので、応答したのはホリコです。
「そうだよな。だって、『ゲンさん、鼻血による大出血で意識不明。うわ言で、ジョイトイに土産を届けねばと、何度も繰り返す始末(涙)』だもん。どっから、どうみても、冗談だ」
「うん。だけれど、彼は信じた。……ゲンさん、これちょっとまずくない?」
「ん?」
「だって、ハルさん、本気でゲンさんのことを心配してたもの。あとで『冗談でした』じゃ、たぶん烈火の如く怒るよ」
「ああ、キングコングばりに暴れそうだな」
「それに。もし先走って、ゲンさんの実家に、『意識不明って本当ですか!?』なんて電話がいったら、騒ぎは大きくなる一方だよ」
「そして、その電話を受けた俺の家のもんが、葬式の手配を始める……ってことはないにしろ、家に電話がいったら、かなりまずいな」
 ここに来て、ようやく事の重大さに気づいた僕ら。
「どうする? 先に電話して謝っちゃう?」
「その方が固いだろうけど、直接、顔をみせた方が、怒り辛いでしょ。土産を持ってきがてら、俺が普通に顔を出す。それで、『まさか信じたわけじゃあるまいね?』と、先に言っちゃえば、あいつは怒るに怒れないはずだ! もしその前に家に電話されたら、うちのもんには、『はぁ? バカ言ってんじゃないよ』と、すっとぼけりゃええら(極悪)。うん、それで行こう!」
 こうして旅の余韻に浸ることも、達成感に浸ることもなく、ジョイトイのことばかりを考えながら(自分で巻いた種とはいえ、嫌な帰路です)、僕らは清水へと向かったのでした。
(つづく)