キクチ・クエスト (第8話)

 いやー、週末、久々に家から出かけずにいたら、凄い楽しかったです。小説2冊も読んじゃいましたよ。俺、引きこもりの適正、抜群にいいと思います。あー、今週も家から出たくねぇなぁ。
 そんな半引きこもりが、群馬まで行った話の続きをどうぞ!
 ジョイトイ、本領発揮でございます。



 海老名サービスエリアに車を駐車したところで、各自、朝食を吟味しに行きます。クロさんがサンドイッチとコーヒー、NOVさんが、おにぎりとお茶、僕がやきそばパンとレモンティーを購入して、席に座っているところに、ジョイトイが戻って来ました。
 彼が机の上に置いたのは、なんと……雪見大福! 繰り返します。彼が持ってきたのは、ロッテ・雪見大福! キタァァッッッ!
 一般良識のある皆様は、よくご存知かと思いますが、最近、日中は暖かいですけど、朝はめっぽう冷えます。この日も例外ではなく、海老名サービスエリアでは、厚手の上着を着た人が多く見られました。つまり、相当寒かったんです。その中で彼は、罰ゲームでも何でもないのに、朝食にアイスを食おうと言うのです。もはやこれは狂気の沙汰!
 異様な状況に、僕が突っ込まずにいられるわけがありません。
「お前、この寒いのに、それでもって、朝食を食おうと言っているにも関わらず、雪見大福とは、どういうことだッ!?」
「だって、妙に食べたくなるときがあるじゃないか。雪見大福」
 自信を持って断言します。この寒い時期に、朝食から雪見大福を妙に食べたくなることは、まず有り得ません。
 とはいえ、仰木監督の前任監督が、イチロー振り子打法を理解できなかったように、凡人の僕が、天才のすることを理解できていないだけの話かもしれませんので、これ以上の言及は避けたいと思います。アーメン。
 腹ごしらえもできたところで、僕らは車に戻って、再び群馬を目指すことに。クロさんに車の運転を代わるか訊いたところ、
「まだ全然行けるよ」
 との頼もしいお言葉を頂いたので、そのまま運転してもらうことにしました。
 海老名インターを出た後も、旅は順調に進み、いよいよ首都高へ。
 混雑するイメージのある首都高でしたが、朝も早かったせいか、比較的空いていました。1度ナビに騙されて、首都高から出てしまうハプニングもありましたが、大惨事には至らず、僕らは8時頃には、東北自動車道に突入しました。
 そんな東北自動車道も、首都高が空いている以上、混んでいるはずもなく、カローラは快走。9時前には、キクチが電話で最寄のインターと指定した館林ICに到着したのでした。
「いいか、館林インターを降りたら左に曲がって、ひたすら進め」
 キクチの指示通り、僕らはインターの出口を左折しました。 (つづく)