キクチ・クエスト (第15話)

gen-19812006-11-29

 今日の『キクチ・クエスト』は、特別にジョイトイの1人称で書いてみました。その理由は、本文の中で書いております。楽しんでもらえればと思います。



「いやいやいやいや、みなさん、どうもすみません。でもホントッ、俺の住んでいるところって、何にもないんすよ!」
 キクチが運転席で騒がしく、のたまわっている。朝から何度同じ台詞を吐いただろうか? 俺のはらわたは、激しく煮えくり返っていた。
 朝っぱら、雪見大福がどうのこうのと、俺の格式高い朝食を理解できない可哀想なゲンが言っていた。群馬到着後の旅プランは全てキクチに任せてある、と。それなのにキクチのヤツは、何も考えちゃいかなった。おそらく1人でもヤツ好み女がいさえすれば、ヤツは真剣にプランを考えたはずだが、男ばかりが参加者と聞いた途端、このざまだ。力が入らない気持ちはわからんでもないが、遠方から来た友に対し、この仕打ちはあまりに酷すぎる。それどころか、自分が当日まで何も考えていなかったことを棚に上げて、てめぇみたいなもんの住民票をおかせてもらっている群馬に対し、何もないところと連呼、揶揄する始末。もはやヤツが群馬の空気を吸うことすら、俺は許しがたい。
 移動を始めた車の中から、見知らぬ土地の景色を眺めることすらせず、俺はひたすらキクチに呪いの言葉を送り続けていた。そのうちに車が停車した。どうやら次の目的地に着いたようだ。他の連中と同様、俺は車を降りた。
 駐車場からしばらく歩くと、そこは由緒ある神社のようだった。なかなか壮麗な社が目を引いたが、それ以上に俺の目を引いたのは……子供。そう、この日は七五三だったのだ。境内に溢れかえる人、人、人。この神社では、併せて菊の展示会が行われていたようで、とにかく凄い人出だ。とても俺達のような物見遊山が、ウロウロして楽しめる雰囲気ではない。結局、俺達は何もこれといったことをせぬまま撤収することになった。
 そのときになって、俺は思った。菊の花を購入すれば良かったと。
 なぜって? 菊といえば、葬儀に用いられる花。今日の動きからして、キクチの極刑は確定。葬儀用の花を買っておけば、2度手間にならずに済むと思ったからだ。
 しかし、俺は思い直した。
 ヤツに手向ける花と、ブスに教える個人情報はねぇッ! ……お後がよろしいようで。
 ちなみに今日のネタは、菊の花の音をキクチとかけていたんだが、読者のみなさんは、ご理解いただけたろうか? ちなみに本日の画像は、キクチの尻である。マニアは喜ぶがいい。
 次回からは、いつもの形に戻る。安心して見て欲しい。あまりにキクチが次の行き先に期待を持たせた挙句にダダすべりのパターンが多すぎて、こうでもしないと、マンネリ化も甚だしかったから、急遽、俺の登場となったわけだよ。まったくこのブログ作者の文章力のなさにも困ったものだ。 (つづく)