キクチ・クエスト (第23話)
風邪が完治してから、数週間経つものの、未だに咳と痰が止まらないものです。
たぶんコタツで寝起きしているのが、最大の原因と思われます。とはいえ、これだけはやめられません。ほとんど、麻薬のようなものですね、コタツは。
みなさんも、連中には注意して下さい。
それでは今回は、戦慄のアミューズメントパーク・ヘビセンターでお楽しみ下さい。
車で北に走ること、数十分。
小高い丘陵地の一角にスネークランドの看板を発見。さっそくそちらの方面に向かうと、駐車場の入り口付近に建てられた料金所から、おばさんが猛スピードで車の前に立ちはだかりました。
「えー、5人と駐車料で5600円になります」
たッ、高すぎやないのかいッ!?
ぼったくりの臭いがプンプンしましたが、僕らには他に行く場所も思いつきませんし、多少なりとも元が取れる可能性もあります。僕は震える声で応えました。
「ああ、払おうじゃないか」
こうして僕らは、坂道の上にある駐車場に向かいます。もちろん、車内の話題は破格の料金について。
「けっこういい値でしたね」
「きっと、それだけの価値があるところなんだよ」
「この舗装されていない駐車場を見る限り、とてもそうとは思えんが」
「さっきのババアが、あの時点で猛烈に金をふんだくるところをみると、俺も大したない気がするなぁ」
話し合いの結果、期待できないとの意見が大半。それでも微かな希望を胸に秘め、僕らは園内へと歩を進めます。
緊張した足取りで進む僕らの目に飛び込んで来たのは、幾つかの金網に覆われたフィールド。一見、ただの荒地に見えましたが、蛇の名前と特徴を記した看板が、そこに連中が存在していることを実感させてくれました。
とはいえ、連中は保護色のため、目をこらして見て、ようやく数匹見つけられる程度。はっきり言って、じっくりと見学すべき代物じゃありません。
「こ、こいつは……」
皆、唖然としていると、誰かが声をあげました。
「あっ、あそこの建物の中には、珍しい蛇がいるみたいよ」
ここに居ても見るべきところはない。全員、意見が一致したところで、さっさとその建物へと向かいました。
建物の中には、細かく区切られた折の中に、アフリカ大陸やら中東の辺りに生息している蛇が、ところ狭しと並んでいます。
……気持ち悪いだけだな(笑)。
ここまで来ておいて、あれですが、人間ってのは、本来、爬虫類が生理的に嫌いな生物なのです。とりあえず入場料の元を取らないとならないので、片っ端から蛇を激写したのですが、建物を出る頃には、どっと疲労が……。
ちなみに、ここよりのち、僕はデジカメを構えておりませんので、話の展開とは全く関係がなくとも、最終話までこの地で撮影した蛇の画像を、ひたすら掲載し続けていくつもりなので、よろしくお願い致します。読者全員、道連れや!
ぐったりしたところで、僕らは建物を出ました。 (つづく)