キクチ・クエスト (第27話)

gen-19812006-12-28

 前回述べた理由にて、今日は珍しく連夜の更新を致します。
 ブログを立ち上げた頃なら、いざ知らず、今となっては、とってもレアな連夜更新。少しでも喜んで頂ければ幸いです。



 各人の受け持つルートが決定したところで、キクチを呼び寄せ、事の成り行きを説明します。
「かくかくしかじか(前回参照)です。要するに、俺らが快適に帰れるのか、散々な目に遭って明け方に清水に帰り着くのか、全てお前の双肩にかかっているというわけだ」
「あっ、そうなんすか」
 案の定、キクチの野郎は、自分が関わらないことと判明した途端、もの凄く投げやりな態度になり、たいして考えぬまま応えました。
「じゃあ、NOVさんで」
 こうして僕らは、キクチがコンマ数秒で決めた決断に従って、山梨経由で帰ることになったのです。……意外と手間だな。
 僕が怒ります。
「もっとよく考えて答えろや、このクソボケがぁっ!」
「んなもん、考えたって、どうにかなる問題でもないだろう。それよりつべこべ言ってないで、とっとと帰れよ。俺は今から川越(埼玉)で、大学んときの飲み会があって、行かなきゃいけねぇんだ」
「おんどりゃあ、俺っちが、わざわざ静岡から来るって日に、他の予定も入れとったんかい!?」
「だから日帰りで帰れと、口を酸っぱくして言っていたじゃないか」
「貴様の誠意のなさ、あいわかった! ……年末に静岡に帰ってきたとき、ボッコボコにしてやるからな! 無事に初日の出が拝めると思うなよ! あばよ!」
 最後の最後まで喧嘩別れしたところで、僕らはキクチのいなくなったカローラへと乗り込みます。
 行きに1人で運転してくれたクロさんは、後部座席でゆっくりしてもらうことにして、今度は僕が運転席に座りました。
「俺が体力の続く限り運転して、NOVさんに代わります。それで静岡まで、何とかたどり着きましょう」
 こうして、甲府経由静岡着にナビを設定したところで、日の沈みかけた群馬から、僕らは旅立ちました。 (つづく)