危機コーヒー (第11話)

 全国一千万の格闘技ファンの皆さん、今日のブログでは、達人同士の相撲対決が実現しております。お楽しみに!
 ……僕はもう眠いので、さっさとカット&ペーストして寝ます。



 午後11時。深夜の公園で、密かに罰ゲームがスタートです。
 まずはガチ相撲冬場所! 本来なら、罰ゲーム受刑者が対戦相手を選べるのですが、キクチ、NOVさんと、この罰ゲームには2人受刑者がいることから、2人が闘えば1戦で済むだろうとの結論に至り、この2人で闘ってもらうことにしました。
 実はこの2人、柔道の有段者同士! テレビ局に負けじと、年末には格闘技の好カードを用意する……ホンマ、美食倶楽部のサービス精神は、北半球を駆け巡るで!
 ちなみに土俵を造るのが面倒だったので、相手を投げ飛ばして、地面に叩きつけるモンゴル相撲方式で決着をつけます。危ないとの声もあろうかと思いますが、彼らは受身が取れるのでダイジョーブッ!
 キクチ(チームブス・即・斬)VS NOV(美食倶楽部正規軍)、ファイト!
 さすがに有段者同士の闘いだけに、自分の優位な体勢にもっていくための、激しい攻防が繰り広げられました。
 大方の予想は、中学・高校と柔道をやってしまった可哀想なキクチが、中学でのみ柔道をした賢明なNOVさんを下すかに思えたのですが、激闘約1分、キクチの1瞬の隙をつき、彼の足を取ったNOVさんが、残る片足を払い、キクチを地面に這いつくばらせて、勝負ありッ! 見事、勝利を収めました。
 さっそく僕がキクチを揶揄したのは、言うまでもありません。
「おめぇ、ホントに弱くなったな」
「違うんだよォ、ゲン。実は俺、スノボで足を捻挫していたんだよー」
 まさかの言い訳! どこまでも情けないやっちゃのぅ、キクチちゃん。
 みんながキクチの言い訳にドン引くも、企画は続けねばなりません。
続いて、キクチは、休む間もなく、上半身を裸にされ、おなじみの白馬のかぶりものを装着されます。そして、シャドーボクシング! しかし、1年前のトランクス姿に比べれば、いまいち笑いも起こりません。
 盛り上げ方をわかっていないキクチに、僕が告げます。
「お前じゃ無理だ、俺がやる」
 そんな僕にジョイトイが言います。
「あんた、風邪は大丈夫なのか?」
 そうなのです。僕は年賀状作成のため、重い病(風邪)を煩い、2006年の最終週から、死にかけていたのです。
 しかし、風邪を理由に与えられた罰ゲームを回避するようでは、捻挫を理由に相撲に負けたとのたまわるキクチよりも性質が悪いわけです。
 僕は言いました。
「笑いのために死ぬなら、俺は本望だ」
 滅び行く肉体に鞭を打って、僕は上半身裸となり、白馬マスクを装着しました。
 次回、ゲンの死に様に涙せよ! (つづく)