冬のソナタ 〜暗黒陰陽篇〜

 はい、みなさん、こんにちは。ネタが切れた者です。
 今日は諸事情でお蔵入りとなった書きかけの話があるので、それを公開してみたいと思います。けっこう長いので、気合入れて読んで下さい。ちなみに無理矢理完結させたので、奇妙なオチですが、堪忍してもらえればと思います。それと辻褄が合わない点も多いかと思いますが、執筆が夏であることを、踏まえてもらえれば何とかなろうかと思います。
 ではでは、どうぞ。




 僕のブログです。冬のソナタとタイトルを付けたからと言って、ヨン様のヨの字も出てきません(笑)。
 ことの発端は、僕がブログの更新が無性に面倒くさくなったあるときのこと(当ブログは、文章量が多いので、ときどきそんな気分にさせてくれるお茶目なヤツなのです)。サボるのも読者の皆々様に悪いかな(そのわりに結構無断で長期休暇とってるな、とのツッコミは謹んでご遠慮願います)と思った矢先、僕はあることを考えつきました。
 あ、誰かに書いてもらえばいいじゃん。
 僕がブログを管理している以上、僕が常に文章を書くのが筋だと、思わないでもなかったのですが、たまにはゲストに書いてもらうのも一興かなと思ったのです。いつも登場人物として出演する人間が書いた日記を掲載するのも、面白いんじゃないかって考えたわけですね。
 こんな無茶苦茶な依頼を頼めるのは、あの男しかいません。さっそく電話して、僕は交渉を開始しました。
「あ、ジョイトイ? 俺だけど」
「なんだい?」
「唐突で悪いんだが……貴様、俺の代わりに俺のブログを書けッ!」
 彼がキレ勾配で拒絶したのは、言うまでもありません。
「断るッ! 何だって俺が、アンタの勝手な趣味で始めたもんに時間を割かれにゃいかんのだッ!」
「そう言わずにさ、頼むよ」
「やなこった」
 必死の交渉にもなかなか応じないジョイトイ。そこで僕は妥協案を彼に提案しました。
「じゃあ、こういうのは、どうだ。俺とボウリングで対決して、もしお前が負けたら書くってのは?」
「……それって、俺にメリットなくねぇ?」
 ちッ、パーフェクト天然超人のくせして、余計なことには気づきやがる。
 ホントにね、人間って、魔が指す生き物なんですよ(お前の場合、それが多いとのツッコミもご遠慮願います)。売り言葉に買い言葉ってんですか? 気がついたら、僕は恐ろしいことを、のたまわっておりました。
「もし俺が負けたら、冬に興津川の上流で、1人で宿泊キャンプをしてやる」
「ほぉ、言ったな、小僧」
 ジョイトイにブログを書かせることができるのか!? はたまた僕が興津川の藻屑と消えるのか!? 



 7月23日。ボウルアピアにて、決戦の火蓋が切って落とされました。
 青コーナー、別にこれといって凄みは感じられないものの、抜群の安定感が持ち味の馬走が生んだ天然核弾頭、ハルロー・オブ・ジョイトイッ! 自己ベスト170台中盤(違っていたら、コメントで申告して下さい)!
 赤コーナー、唸れ7色の変化球、力任せの柔道をするくせに、なぜかボウリングは技巧派、ゲェェェンッッ! 自己ベスト、180台前半(ちなみにこのときは、相当酔っていたそうです。笑)。
 ここでルールのご説明。ボウリングは2ゲーム行うのですが、1ゲーム目は完全に練習とします。よって2ゲームの成績が、そのまま勝敗を左右するのです。
 まずは練習ラウンドである1ゲーム目。フックボールが冴えて、ターキースタートの僕とは対照的に、ジョイトイは絶不調! スペア・ストライクが一向に出ぬまま7ゲーム目を終了。この時点での成績、ゲン120。ジョイトイ49! ダブル・スコアどころの騒ぎじゃありません。このままだったら、2ゲーム目は間違いなく勝てそうなものですが、獅子はウサギを狩るにも全力を尽くすもの!
 8フレーム目、この日、初めてストライクを取ったジョイトイが、歓喜しているところに、僕は手を差し伸べました。
「やはり一方的に私が潰してしまってはおもしろくない。このぐらいは頑張ってもらわないと」
 あまりにストライクが嬉しかったのでしょう。ジョイトイは、あることをすっかり忘れて僕との握手に応じてしまいました。え? あることって何かって? ……僕の握力ですよ。
 以後は、この決戦に臨むにあたり、立会い人となったNOVさんの証言です。
「ええ、何て言ったらいいのかわからないんすけどね、グチャッ、っていうね、とにかく嫌な音でしたよ。ざくろを叩き割ったかのようなね。ジョイちゃんの『ウギャァァッッ!』って悲鳴が、全てを物語っていました。次の瞬間には、得意の正拳突きを咄嗟に放って、手の握りは解けたんですけどね。アフター・オブ・フェスティバル……あとの祭りってやつですわ。え、何ですか? ゲンちゃんの握力は、そんなに強いのかって? 俺もね、中学時代ゲンちゃんとは、柔道部で一緒だったからわかりますよ。あの右手で奥襟を掴まれたら、はっきり言って、どうすることもできない。あっちゅう間に1回転ですわ。あの力で手を握られるなんて……いやだ、いやだ、いやだ、考えたくもない。僕にできることは、ジョイちゃんの右手の無事を祈ることぐらいです。ええ、もちろん無事に済むとは思ってもいませんでしたけどね」
 ゲン、ジョイトイの右手を完全破壊ッ! 



 (前回までのあらすじ)絶不調時のストライクに、舞い上がってしまったジョイトイは、思わずゲンの差し出した手を握ってしまう。次の瞬間、彼の右手をゲンの強烈な握撃が襲ったのだった。
 ジョイトイは、右手を押さえながら、怒りに肩を震わせます。
「貴様、やりやがったな……」
「おやおや、どうかしたのかね、ジョイトイ君? 私は普通に君の健闘を称えようと思っただけなのだが?」
「クッ! 空手の練習で痛めていたところが、余計にひどくなった……」
 もちろん、僕は意図的に強く彼の右手を強めに握った(笑)のですが、まさか空手の稽古でケガをしている箇所とは……ラッキー! これでもうほとんど負ける要素は、なくなったじゃないですか(←鬼畜)! 反省? するわけないでしょ。どんな手を使ってでも勝つのが、俺の流儀だッ! 決戦の日に、ケガしてる方が悪いんですッ! 追い討ちをかけたのは……気にするねぇッ!
 結局、140弱で1ゲーム目を終えた僕に対し、ジョイトイは80ほど。しかも右手を手負い(にさせた)となりゃ、もう負ける要素がありません。
 こうして2ゲーム目が始まった矢先のことです。突如として、場内の証明が暗転し、ダンスミュージックが流れ始めたのです。
 なんじゃあ、こりゃッ!?
 決戦に水を差された形となった僕が苛立つと、店内に放送が入りました。
「只今より数分間、ボウルア○ア特別イベントして、男性でストライクを出された方、女性で8ピン以上、倒された方に、無料でジュースを差し上げます。張り切ってどうぞ!」
 ふむ、無料でジュースを配るとは、なかなか良い心がけではないか。ジュース、いただきッ!
 すると、どうしたことでしょう。欲の皮が突っ張った僕は、妙な力が入ったのか、ストライクどころか、ミスショットを連発! イベントが終わっても、1度乱れたフォームは修正されません。気がつけば、手負いのジョイトイに、負けている始末!
 なんとかしなくては! 焦った僕は、スペアを出して帰って来るジョイトイ股間にするすると足を踏み入れると、一気に振り上げます。金的炸裂! ……と思いきや、ジョイトイが膝でガード!
「右手を破壊するに飽き足らず、自分が劣勢になった途端、卑劣な手を打つ……貴様の考えそうなことだ。ゲンッ、お前だけは絶対に許さねぇッ! 冬の興津川で永眠させてやる! ウオリャァァァッ!」
「黙れ、雑魚がぁッ! キテハァッ! ……あれ?」
 ゲン、まさかまさかの80台。手負いのジョイトイは、なんとか100ピンを倒すことに成功。こうして史上稀に見る低レベルの争いの結果、散々策を弄した僕は敗北を喫し、冬の興津川でキャンプをすることに。カッコ悪ッ! 



 ……その後、冬の興津川で、キャンプをした僕は、数多の困難に強靭な気力・体力で打ち勝ち、無事に帰宅したのでした。めでたし、めでたし。(完)



* それではまた3月の中旬にお会いしましょう。