美食倶楽部最大トーナメント (第2話)

 今日は、そのまま本編をどうぞ。



 キクチ、NOVの2大幹部にグルメ企画を否定されたことを踏まえて、ゲンが話をまとめる。
「確かに2人の言うとおりだな。とはいえ、グルメ企画については、ブログにオンエアされない形で、有志を募ってやればいいだろう。その方がせいせい食えていいだろうし。――それでいいな、ジョイトイ?」
「御意。しかし、これで話は振り出しに戻りました」
「そういうこっちゃな。どうでぇ、キクチにNOVさんや、何か良い企画はないもんかね?」
 ゲンに問われると、キクチが恐る恐る口を開いた。
「こういうのはどうやろか?」
「なんだよ、いつもの威勢がねぇじゃないか。まぁいい。言ってみな」
 ゲンに促されて、キクチが話を始める。
「会長は、以前、ワシの案内で行った群馬のヘビセンターを覚えていますかいのう?」
「忘れもしねぇよ。あんなひでぇところ(詳しくは『キクチクエスト』をご覧下さい)。ちゅーか、おめぇ、今からでも、あのときのケジメに、エンコ詰めるの遅くねぇぞ」
「これはまた、お戯れを」
「マジだけど」
「……。その話は、まぁ置いといて」
「こら、自己完結するな」
 ゲンのツッコミを無視して、キクチは続ける。
「ともかく、あのヘビセンターを前向きに捉えるんです」
「どこまでポジティブシンキングをすれば、アレを前向きに捉えられるんだよ? おおッ!?」
「静岡には幸いなことに、伊豆という観光名所があります。そこで、こういうのは、どうでっしゃろ? 伊豆の地図を開きます。そこには、数々のアミューズメントパークが記されている。中には、もちろんヘビセンターを越えるスポットもあるはず……」
「つまり貴様は、『ヘビセンターを越える、つまらないスポット探索in伊豆』を、次回企画に挙げるわけか? そこが極めてつまらないスポットがあれば、相対的にヘビセンターは、普通もしくはおもしろいものであったとされるわけだ」
「ええ」
「でもって、あわよくば、貴様の罪も軽減され、情状酌量もあり得ると」
「そこはまぁ、そうなってもらえればありがたいかなぁって」
「このクソたわけがッ! んな消極的かつ退廃的な企画に誰が付き合うか!」
「企画の表面だけ見れば、そう思っても無理はないですわ。ですが、よくよく考えてみて下さい。俺が言うのもアレですが、ヘビセンターより酷いスポットは、そうそうないはず。まして観光名所伊豆となれば、どこを選んでも、そこそこ遊べるスポットでしょう。つまり、ほとんど物見遊山の1日になるわけですわ。旅行として楽しめる上に、企画も美食倶楽部向け。悪い案だと思いませんが?」
「ふぅん、なるほどねぇ」
 ゲンが唸った。 (つづく)