美食倶楽部最大トーナメント (第15話)

 いやー、どうもみなさん。誤ってパソコンのキーボードに麦茶をぶっかけてしまった者です。したらば、普通にタイピングできなくなり(できるにはできるが、打った文字とは違う文字が入力される)、途方にくれていたのですが、なんと数日放置しておいたら直りました。小さな奇跡ですな。
 あ、そんなことはどうでもいいのですが、ちょっと見返してみて思ったのですけど、このシリーズの勝敗を表す●○が、壁紙の関係上、ワードで下書きしたものと反転して見えるんですよね。
 ですから、○が勝ちで、●が負けです。
 紛らわしいけど、よろしくお願いします。



〈Bブロック第1試合 萩木金一VSジョイトイ
 リング上でジョイトイと萩木が向かい合う。すると萩木からジョイトイに言葉が掛けられた。
ジョイトイ君と言ったか?」
「はぁ」
「今日は君達の倶楽部の集まりにお招き頂いて感謝している。ただね、私はプロだ。笑いで飯を食っているし、家族や弟子を養っている。君らのように、道楽で笑いに触れているわけではないのだよ。主催者の君らには悪いが、圧倒的な強さで決勝まで勝ち進み、優勝させてもらう。いいね?」
「……まぁできればそうして」
 やり取りが終わったところで、先攻である萩木がネタを始める。 
 攻撃開始の合図の直後、彼は猛然と金ちゃん走りで横に進むと、飛び上がって絶叫した。
「なんでこーなるのッ!」
 会場がどっと沸く。
 しかし、肝心のジョイトイは、眉ひとつ動かすことなく、彼の方を冷めた目で見つめていた。間もなく、攻守交替の声が掛かる。
「なぜだッ! なぜ私の往年のギャグで笑わんのだ!?」
「だって、おもしろくないんだもの。その前に何もないのに、いきなり『なんでこーなるの』とか言われてもさぁ、困るよね。それに俺、おたくのこと、よく知らないし」
 ジョイトイには悪気はないのだが、萩木にしてみれば、これ以上の屈辱はない。
「おのれッ、次の私の攻撃で、必ず君をし止めてやる!」
「はい、まぁ頑張って」
 若干のインターバルの後、後攻のジョイトイがネタを披露する番となった。
「あーあ、何かさっきから、『金ちゃん、金ちゃん』観客が言うものだから、なんかカップヌードルが食いたくなったな。金ちゃんの。試合終わったら、買いに行こう。でもこの辺、コンビニどこにあんだろ……まぁ、いいや。とりあえず試合に集中するか。何かネタをしなくちゃ」
 そう独り言をぼやいて、ジョイトイが顔を上げたときである。既に萩木の口からは牛乳が流出していた。
「ゴハッ! そんな馬鹿な! 私の渾名で、意の一番にカップ麺を連想するなんて、まず有り得ん! どういった思考回路をしている……美食倶楽部の天然男は化け物かッ!」
 あまりにショックだったのだろう。絶叫するや萩木は、その場で失神してしまった。
「……なんだかよくわからないうちに勝っちまった」
 釈然としないジョイトイであったが、まぁ深く考えることもないと、リングを降りる。彼はその足で、近くのコンビニへとラーメンを買いに走ったのであった。
 Bブロック第1試合 ○ジョイトイ(連想カップヌードル)萩木金一●