美食倶楽部最大トーナメント (第16話)

 今回の話は、サスペンス&ホラーみたいな感じです。もちろん実際に、そんなことはないのですが。
 あー、そして突然ですがね、今日から6月の頭まで、また若干のお休みに入りますので、あしからず。
 お前のブログを更新するペースの方が、サスペンス&ホラーとか言わないようにね。では、どうぞ。



 プロのコメディアンをネタ前に瞬殺。ジョイトイの圧倒的な強さに、目を丸くするゲン。彼に隣で観戦していたNOVが、彼に声を掛けて来た。
「さすがハルちゃんですね」
「ええ、プロをものともしない。大したものです。決勝に行くには、ヤツを倒さないといけないかと思うと、気が重いですよ」
「その点、俺は後半のブロックで良かったと思います。かわいそうなのは、次の対戦に決まった人達ですよね。勝っても、次の対戦相手がハルちゃんなわけですから」
「まったく運が悪いとしか言い様がない。……あっ、そういえば、ラフィートさんて、次が出番じゃありませんでしたっけ?」
「言われてみれば、そんな気も」
「俺、試合のときにセコンドについてもらったんで、お返しに行って来ますわ」
「じゃあ、俺も行きますよ」
 こうしてゲンとNOVは、席を立ち、ラフィートの控え室へと向かった。
 扉の前に到着したところで、ゲンがノックするも、室内から返答はない。
「あれ、いない。もしかして、もう入場しちゃったとか?」
「客席からの声援が聞こえないですから、それはまだないでしょう」
「ですよね。ちゅーことは、トイレにでも行ってるんですかね?」
 適当なことを言いながら、ゲンが何気なくノブを捻ってみると扉が開く。
「あらま、開けっ放しだ。……無用心だな。俺達だからいいようなものの、誰がうろついているか分からないから、ちょっとした時間の外出でも、カギをした方がいいのに」
 自分のしていることを棚に上げて、室内に侵入したときである。ゲンとNOV、2人は同時に息を飲んだ。
 なんと部屋の中心で、ラフィートが口から牛乳を吹き出した状態で倒れていたのである。
「大変だ!」
 ほとんど同時に駆け出し、ラフィートのもとに駆け寄るゲンとNOV。一斉に声掛けをする。
「ラフィートさん、大丈夫っすか!?」
 2人の声が届いたのか、ラフィートはうっすらと目を開けた。
「い、いかりのじゅうしんが、しりでわりばしを……グブッ!」
 それだけ言うと、再び口から牛乳を吐いて、ラフィートは再び意識を失った。
 いったい、この控え室で何が起こったのだ?
 表情を強張らせる2人の耳に、大観衆の声援が届いたのは、間もなくのことであった。 (つづく)