美食倶楽部最大トーナメント (第21話)

 ひたすらDVDを見続けたグダグダな日曜の締めが、このブログの更新。最悪であることは言うまでもありませんが、とりあえず皆様には最大トーナメントをご覧に入れねば。



 ホリコの見事な勝ちっぷりに、ゲンが唸る。
「うーん、もちけんさんに攻撃を許さないとは、見事な完封勝ちですな」
「まったくで」
 相槌を打ったのは、一緒に観戦していたNOVである。彼は続けて言った。
「次の試合に勝ったにしろ、ヤツが相手だと思うと、気が重いですよ」
 発言のとおり、NOVは次に試合を控えているのである。もちろん、ゲンもそのことは先刻承知していた。
「次の試合。NOVさんの対戦相手は、ゲオルグでしたか?」
「ええ。……しかし、俺はあまりよくヤツのことを知らないのです。絡みもないし。いったいどんな感じの男なのですか?」
 NOVの問いかけに、ゲンの表情が強張る。
「一言でいえば、危険な香りのする男、とでも言いましょうか」
「危険?」
「ええ。俺は今でも彼をキャスティングしたことが、果たして良かったのか悪かったのか、判断が着きかねます。正直、優勝をかっさらっちまうかもしれない。それほどの逸材です。しかし、強敵なしの大会で優勝したところで、それは所詮井の中の蛙のようなもの。この大会を有意義なものにするため、俺は敢えて彼にオファーしたのです」
「ゲオルグとは、それほどのものなのですか?」
「はい」
 ゲンがきっぱり言い切ると、
「ならば、余計にやりがいがあっていい」
 そう言って、NOVは席を立った。ゲンが訊ねる。
「行かれるのですか?」
「ええ」
「ならば、今度は俺がセコンドに着きましょう」
「あ、俺の場合、セコンドは不要です。かえって緊張しちまいますから。ここでゆっくり観戦していて下さい。俺の化け物退治を」
 申し出を辞退し、NOVが席を立ったところで、ゲンは椅子に深く座り直した。
 数分後、リングにNOVとゲオルグが姿を現した。 (つづく)