美食倶楽部最大トーナメント (第22話)
緑のエビス、マジでうまいっすねぇ。最近、毎日飲んでますよ。健康診断の前日も、すっかり状況を忘れて痛飲する始末。いやはや、結果が楽しみです。では軽いアル中のブログをどうぞ。
〈Cブロック第2試合 NOV VS ゲオルグ〉
リング上で、NOVは対戦相手のゲオルグを凝視する。人の良さそうな、ポッチャリとした体躯の男である。
これがゲンさんの言う危険な香りのする男か? とてもそうには思えんが。
前評判とのギャップに当惑するNOVであった。
ジャンケンの結果、先攻ゲオルグ、後攻NOVと決定。
どんな笑いで来るか知らんが、とりあえず1ネタ耐えて、勝負をつけるか。
後攻めの心構えを再度確認した上で、NOVは与えられた牛乳を口にした。
試合開始の合図で、ゲオルグが話し始める。
「いや、こういった大会に自分が呼んでもらえるとは思えなかったので、あまり自信はないのですが、精一杯やらせてもらいますよ!」
謙遜ではなく、心底の言葉であるようにNOVには察せられた。ゲオルグは続ける。
「おもしろいものかどうかは知れませんが、とりあえず僕のブログを紹介したいと思います。毎日更新しているので、最初から読んでもらうと、おそらく日が暮れてしまうので、ここ数週間の内容をピックアップしてみました。どうぞ」
ゲオルグが合図すると、オーロラビジョンにゲオルグのブログが映し出される。彼の日常が綴られているのだが、NOVには違和感が感じられた。
『○月○日 今日は遅くまで残業したので、帰宅後はバタンキューで、グーグーでしたよ……』
『○月△日 今日は午前だけの勤務でしたので、午後はグーグーでしたね……』
『○月×日 今日はオフでしたので、昼までグーグー……』
『○月☆日 1日グーグー……』
『○月□日 グーグー……』
そう、彼の日常生活を描いているはずのブログの多くは、彼の睡眠時間について語られているのである。
なっ、なぜ、ブログで睡眠時間を報告するッ!?
NOVはこみ上げてくる笑いを禁じ得なかった。
「グハッ!」
牛乳を吐き出したNOVを見て、ゲオルグは満足そうである。
「おお、僕のブログを見て笑って頂けるなんてありがたい限りですよ。もしよければアドレスを教えるんで、お気に入りにして下さい。コメントを頂ければ、早めにレスはするんで、またよろしく。カキコありがとうです」
ゲオルグは満足気に引き上げていった。
Cブロック第2試合 ○ゲオルグ(グーグー)NOV● (つづく)