美食倶楽部最大トーナメント (第28話)

 今回の話は、2回戦の予告みたいなものです。っていうか、この段階で28話っておかしいですよね。どうやら年内も、この話は完結しそうにありませんので、長い目で見守ってやって下さい。



 1回戦の全試合が終了したところで、若干の休憩時間を設けるとのアナウンスが館内に流れる。熱戦の連続に、身動き1つせずリングを見つめていた16000人強の観衆が、ここぞとばかりに動き出す。
 そんな中、会場5階の末尾席にいる中学生の2人組みは、席を立つことはなかった。
「すごい……本当に凄い戦いばかりだ」
「ああ、まったく」
 戦士達の熱い闘いに、2人は感動に打ち震えていたのである。
「あまりのチケットの高さに驚いたけど、無理して来て良かったよ」
「俺なんて、小遣い向こう2年分前借りだ。ったく、これからどうして生活すればいいんだって感じだよな。でも、それでも来て良かったと思うよ。だって、今の水準で1回戦だろう? 2回戦からは、どんなハイレベルな戦いなのかと想像すると、ゾクゾクして来る」
「なんせ2回戦の第1試合で、いきなりゲンVSキクチの美食頂上決戦だもんな」
「ああ、本来なら、決勝とか準決勝でも、おかしくないカードだ。笑いを極めようとする漢達の集まり美食倶楽部の大幹部だけに、2人とも懐が深い。どんな戦いになるか楽しみだよ」
「第2試合も興味深いな」
「うん、美食の天然核弾頭ハルロー・オブ・ジョイトイVS乱入戦士獣神サクライガーだろう。美食倶楽部実力ナンバー1の呼び声高いジョイトイと、至高の肉体派ギャグを駆使するサクライガー。これまた好カードだね」
「第3試合は、どんなだっけ?」
「朝からガンプラのホリコVSグーグーゲオルグ
「ああ、そうだったね。美食倶楽部の超新星ホリコと、その美食倶楽部譜代の大幹部NOVを破った底の知れぬゲオルグか。奇想天外な戦いになりそうだ」
「それでもって、第4試合が美食の狂犬ダミアンVSゲンを受け切れる男エビフライか。個人的な意見だけど、僕は1回戦の決め技の中で、ダミアンの『アグレッシブ・ビースト』が1番凄いと思った。そんな荒々しい技を駆使するダミアンに、技巧派のエビフライがどう対応するか、見所だね」
「……なんかこうやって挙げたら、どれも見逃せないな」
「まったくだ」
 こうして2人が2回戦のカードを確認した頃、間もなく試合を再開するとのアナウンスが館内に流れた。
 次回より、いよいよ2回戦開始! (つづく)