美食倶楽部最大トーナメント (第43話)

 うわぁ。昨日、車洗ったばっかなのに、なんだか雨が降ってるよ……。



「ゲンよ、貴様の致命的な弱点。それは貴様が暗黒の笑いの使い手だと言うことだ」
 聞き慣れない言葉に、ゲンが苦笑を浮かべる。
「何を言うかと思えば、言うに困って、暗黒の笑いだと。カッーカッカッカッ! ちゃんちゃら可笑しくて、ヘソで茶を沸かすわッ! 何のこっちゃわいや?」
「黙って聞け、この野郎。貴様の笑いはな、誰かの犠牲の上にしか、成り立たない笑いなんだよ」
「何を抜かすか!?」
「先程のキクチ氏と対戦した際のネタ然り。今、俺に披露したネタ然り。貴様は誰かを誹謗中傷することでしか、笑いが取れていないのだよ。そんなもの万人が受け入れられる代物ではない。不快な思いをする方も多いだろうし。よって、貴様はここに居て良い人間ではないのだ。さっさとこの場から消え失せるがいい!」
 笑いこそ全てをモットーに生きてきたゲンに、ジョイトイの言葉は死刑宣告に等しかった。
「俺の笑いが、万人受けしないだと!? そんなバカなことがあるものか! 俺は最強笑い集団美食倶楽部会長! 引かぬ、媚びぬ、省みぬ!」
「ほら、今だってサウザーのパクリじゃないか。所詮、人をいじるか、パクリしかないんだよ、あんたは! もう終わりにしよう!」
 そう言うと、ジョイトイはゲンの口に牛乳瓶を詰め込んだ。
「ウゴッ!」
 目を丸くするゲン。だが無常にも、牛乳を口に含んだことで、後攻の攻撃開始と判断される。
 次の瞬間、ジョイトイは、自分のズボンおよびパンツを勢いよくずらした。凍りつく館内。するとジョイトイ、今度は慌ててパンツを引き上げながら呟いた。
「やべ! クマさんマークのパンツを出して、パンツもアニマルにしましたというつもりが、勢いあまってパンツまで脱いじゃったよ」
 このジョイトイの天然炸裂に、会場で笑わなかったものはいない。
「ゴホァッ!」
 ゲンも例外ではなく、ジョイトイに無理矢理飲まされた牛乳を吐き出した。
「貴様と私とでは、実力が違い過ぎる」
 勝負ありの声が掛かると、ジョイトイは涼しい顔をして去って行った。
 セミファイナル第1試合 ○ジョイトイ(天然露出)ゲン●