名古屋食い倒れの旅(第2話)

 3月8日。朝8時15分。
 前回記載の年間活動計画決定会議、またの名を新年会の折に執り行われた『車出しジャンケン』(ネーミングのとおり、敗北者は車を調達せねばならない。できれば負けたくないジャンケンのこと)で、無念の敗北を喫したホリコが、ご自慢のスカイラインを駆り、NOVさんを引き連れ、僕の自宅近くまでやって来てくれました。
 僕がさっそく乗り込んだところで、スカイラインは一路、最後の参加者である無双祭さん宅へ。その道中のこと。
 信号待ちしていた僕らの前を、『静岡県ワンダーフォーゲル部』なる幟を掲げたオジさんオバさん群(どちらかといえば、おじいさん、おばあさんとの記述が正しい気がしますが、僕なりに気を遣いました)が通り過ぎて行きました。
 最初は、物好きもいるもんだと思いながら、目の前の光景を眺めていた僕らでしたが、一行に一群が途切れる様子がありません。
 どんだけおるんじゃ!
 いささか気になって、連中の末端を見やるも、軍団は遥か彼方まで続いておりました。誇張なしで優に200メートルに及ぶ長蛇のワンダーフォーゲル部の列。
 僕が唸ります。
「しかしみゃぁ、何とも物好きな連中が、世の中にはたくさんおりますみゃぁ。それにしたって、ワンダーフォーゲルって、何を持って、そう呼ぶんだでや? よく聞くみゃぁが」
「たぶんワンダーフォーゲルは、歩き回ることじゃないですかねぇ」
 応えてくれたのは、NOVさん。
 彼の言葉を聞いた僕が、再び唸ります。
「ふぅん。歩くことですかみゃぁ。しかし、ちぃっと理解できませんみゃぁ。このモーター全盛期の時代に、わざわざ歩くとは。俺なんて、近くのコンビニに行くのですら、最近じゃ原付を使うんで」
 それはいささか運動しなすぎ。そう突っ込まれそうですが、優しい友人達は、もちろん僕に、そんなことは言いません。
 なにはともあれ、僕らはワンダーフォーゲル部の長蛇の列に対し、ああでもない、こうでもない言いながら、無双祭さん宅へと向かったのでした。
 勘の良い方は、お察しかと思いますが、わざわざこの件に1話分を裂いたのは、それなりの意味があるので、そこのところを心得ておいて下さい。
 余談になりますが、『ワンダーフォーゲル』を辞書で調べたところ、『直訳=渡り鳥。それより派生し、集団で山野を歩いて旅行する青年運動(の仲間)』とありました。さすがNOVさん、博識でございました。
 いやはや、相変わらず為になるブログぶりは健在ですね。じゃあ、また今度だでや。 (つづく)