名古屋食い倒れの旅(第4話)

 熱田神宮から栄を目指し北へ向かう僕ら。
 道中、車の窓から何気なく外を見ていた僕の目に飛び込んで来たのは、某パチンコメーカーの直営店。そういえば、名古屋ってばパチンコの本場じゃないですか。雑誌でよく見かけるホールを目の前にして、ギャンブラーの血が騒がないわけがありません。
「あ、俺、1人で新幹線でも使って帰るから、ここで降ろしてもらっていい?」
「いきなり何を? そんなのダメに決まっているじゃない」
 と、軽く他のメンバーに提案を却下される僕。あ、いや、冗談じゃなくて、けっこう本気だったんだけどね……。
 後ろ髪を引かれる思いで、さらに北に向かうこと数十分。いよいよ栄に上陸となりました。とはいえ、街中の駐車場ともなれば、静岡から行った我々からしたら、破格のお値段。こりゃたまらんとばかりに、ある程度、町外れの駐車場に車を置くことにしました。
 駐車場も決まったところで、時刻は昼時。いよいよ名古屋名物を頂かねば! 僕が立案した計画では、昼食に味噌カツ、おやつにあんかけスパ、夕食にひつまぶし、土産に手羽先と天むすを頂く予定です
「じゃあ、計画に沿って、味噌カツから食べましょうか」
「どこで食べますか?」
 当然の質問が飛んできます。しかしまぁ、いい加減な僕が、そんな細かいことまで決めているはずもありません。食うものだけ決めて、それをどこで食うかまでは決めてないあたりが、俺流なのです。
味噌カツが名物だってぐらいだから、栄の街を歩いてリャ、その辺に吐いて捨てるほど、味噌カツ屋がありますって。その中から、美味そうなところをチョイスすればいいんじゃないですかね?」
 こうして町外れの駐車場から、栄の中心部へと味噌カツ屋に気を配りながら、歩を進める僕ら。しかし、歩けど、歩けど、味噌カツ屋がありません。結局、中心街への道ではおろか、街を一回りしたにも関わらず、味噌カツ屋らしき店の暖簾は見ることができなかったのです。
 腹をすかした僕は、獣と化します。
「なんじゃこりゃ! 味噌カツ屋のみの字もねぇじゃねぇかッ!」
「このままじゃ食い倒れどころか行き倒れですよ!」
 NOVさんが上手いこと言っても、味噌カツ屋は出現しません。
 はたして、味噌カツ屋はいずこに!? (つづく)