名古屋食い倒れの旅(第11話)

 食事を終えたところで、時刻は午後6時。あたりはすっかり暗くなりました(ブログの公開は6月ですが、企画の実行は3月上旬なのです)。夜の街の風情を味わいながら、僕らが向かった先は三越デパート。
 昼過ぎにも、僕のわがままを聞いてもらい訪れていたのですが、そのときはすぐに外に出てしまったため、あらためて静岡にはない王手デパートで、ゆっくりと買い物しようといった次第です。
 くそ、このタイミングで職場への土産を買えば、その後の道中で手荷物にならなかったのに。
 そんなことを考えながらも、買い物に没頭した結果、まだ食わぬ名古屋名物『天むす』だとか、これまで調達しそびれていたホワイトデーのお返しなど、個人的には充実した買い物ができました。また僕だけでなく、他の人達も、それぞれに充実したショッピングになった模様です。いやはや、美食倶楽部の企画で稀に見る平和かつ発展的な一時でしたな。
 三越デパートを出た僕らは、いよいよ帰宅の途に着くことにしました。まずは栄の外れにある駐車場を目指すわけですが、この道中、僕は心霊体験をすることになるのです。
 のちに美食倶楽部Xファイルにノミネートする話です。ここから先は、心臓の強い方だけお読み下さい。
 名古屋で1番の繁華街、栄の夜ともなれば、その盛況ぶりは静岡の両替町を遥かに凌駕するわけで、当然ながら客引きも静岡より多いわけです。
「お兄さん、キャバクラ1軒いかがですか?」
 などといった誘いをかいくぐるように歩いていたときのこと。ふと目の前に、下着姿同然の女が現れたのです。風俗店の客引きであることは察しが着いたのですが、なかなかどうして、静岡では見ることのない光景に、さすが栄、やるな栄、などと思いつつ横を通り過ぎました。キャッチされても嫌なので、あまり気のない素振りを見せながらも、ガン見という高等技術を駆使しながらです。
 その後の帰路では、別の各種話題を取り上げたので、このときの話を蒸し返すことはなかったのですが、後日、何かの席で僕が、
「そういえばあのときさ、下着姿で客引きをする風俗嬢がいたよな。さすがに栄の夜は、静岡とはわけが違ったね」
 と、発言したところ、あの日の参加者であるNOVさん、ホリコ、無双祭氏が揃って、そんなやつはいなかった、と言うのです。全員同じ場所に居合わせたはずなのに……。
 とはいえ、僕の記憶は鮮明なので、見間違いとは考え辛いのです。こいつは、いったいどういうことなんでしょうか? 風俗嬢の自縛霊(聞いたことがねぇ)でも見えたとでも言うのでしょうか? 真相は未だに定かではありません。もしも霊なら、さっさと成仏なせぇ。南無〜。
 以上、未来の話でした。近い未来に、そんなことになるとは露知らぬ僕らは、駐車場から車を駆り、一路、静岡を目指したのです。
 次回、いよいよ名古屋食い倒れの旅、最終回です! キレイに落ちるよ。 (つづく)