新作プロローグ(第2話)

 ジョイトイとNOVが話し合っている重役室に、ホリコがノックもせずに入ってきた。ひどく焦っているようだ。
 尋常でない様子に、NOVが問いただす。
「なんだ、ホリコ? そんなに慌てて?」
「NOVさん、ジョイさん、大変だ! そ、ソウリが……」
「……ソウリ?」
 的を得ない様子の2人に、ホリコが声を張った。
「総理大臣が来てんだよ! 今、うちの、美食倶楽部の玄関にッ!」
 総理大臣が玄関に訪れたと言われて、『ああ、そうなんだ』と、信じる者がいるはずもない。
「……ジョイちゃん。今日って、4月1日だっけ?」
「いや、俺の記憶が確かならば9月8日だけど」
 すっかり冗談だと思い込み、それなりの対応を取る2人に、ホリコが必死の形相で訴えかける。
「嘘じゃないって! とにかく玄関に行ってみてくれよ! でもって、会長(ゲン)も、副会長(キクチ)も不在なんだから、あんた達、重役で上手く対応してくれ!」
 信じたわけではなかったが、ホリコの鬼気迫る表情に押されて、2人は事務所の玄関へと足を向けた。すると、本当に何やら玄関付近が騒がしい。黒山の人だかりとなっている。NOVとジョイトイは、たむろしている会員達を押しのけ、騒ぎの中心へと向かった。
 そして彼らは、時の総理大臣と対面したのであった。 (つづく)