いざ、鎌倉! (第2話)

 10月某日。僕らの企画にしては珍しく見事な秋晴れの天気となりました。いつも大概、雨なんですけどね。
 午前6時45分。愛車で自宅を出発した僕は、ガソリンを給油後、NOVさん宅へ。アルコール残量相当のNOVさんと合流後、ジョイトイ宅へと向かい、彼とも程なく合流。
 その後、車は無双祭さん宅へも、クロさん宅へも向かわずに、清水インター方面へ。NOVさんとジョイトイが不審を抱くのも当然です。ジョイトイが恐る恐る僕に訊ねてきます。
「おい、クロさんと無双祭さんは参加せんのか?」
「ああ」
 僕はきっぱり応えました。
 クロさんは職業柄、休日を確定することが難しいため、今回の企画も業務上の都合で敢え無く断念。無双祭さんについては、急な法事ということで欠席となってしまったわけです。
 その事実を聞いたNOVさんから一言。
「鎌倉地方に行くことは、全員の総意で決めたことですが、具体的な訪問場所である江ノ島やら鶴岡八幡宮を挙げたのは、他ならぬ欠席した2人ですよね? 目的地に何の思い入れもない僕らが、そこに向かうあたり、なんだかゾクゾクしますね」
「この辺の適当さこそ、まさに美食倶楽部テイストですなぁ」
 湘南に向かうということで、NOVさんが持参してくれたサザンのMDを流しながら、車は高速道路を東へ。途中のサービスエリアで朝食をなどと思っていたのですが、あまりに快調だったので、そのまま厚木インターまで行ってしまいました。その後、一般道を進んだ結果、午前9時過ぎには、目的地である藤沢駅に到着したのです。
 え? 目的地は鎌倉じゃないのかって? その辺を説明させてもらいますと、鎌倉に続く海岸線の道路は、大変に混雑するとの前情報があったので、この日は藤沢まで車で行き、駅近隣の駐車場に置いたのち、公共機関で移動しようと決めていたのです。
 一般的な住宅街の風景から、急に市街へと変貌を遂げた藤沢の街並みに戸惑いながらも、なんとか駅の北口付近の駐車場に車を停めた僕らは、いよいよ車外へと足を踏み出しました。 (つづく)