いざ、鎌倉! (第3話)

 そこそこの賑わいを見せる藤沢駅周辺。飲まず食わずで、現地までやって来た僕らは、まず軽食が取れる飲食店を探します。朝が早いせいもあってか、開店している店も少なかったわけですが、NOVさんの推薦もあって、サンドイッチのチェーン店『サブウェイ』に入店。
 すると、僕らより先に外国人客(アラブ系)が入店しており、注文の段階で時間を食っている様子。やれやれ、厄介なところに入って来ちまったと思いつつも、連中と店員との攻防を楽しんでいるうちに、僕らの順番に。
 システムがわからないものの、NOVさんのやり方を見ながら、見よう見まねで注文する僕とジョイトイ。すると、オーダーの終盤でジョイトイが、この日、最初の奇跡を起こしたのです。
 店員が僕らのオーダーに従って作り上げたサンドイッチを仕上げる際のことでした。
「これから野菜を入れますが、何か食べられないものがありますか?」
 そう言って野菜の写真を示す店員。するとジョイトイが応えたのです。
「レタス……以外、全部」
「ええッ!?」
 僕も、NOVさんも、店員も、ビックリしたときのマスオさんリアクションを自然に繰り出したのは言うまでもありません。さすが美食倶楽部のリーサル・ウエポンと言われる男、半端じゃありません。たぶん店員さん的には、アラブ系外国人襲来よりもインパクトがあったと、僕は思うよ。
 そんな事件があったものの、とりあえず朝食を取った僕らは、江ノ島電鉄へと向かいます。江ノ島電鉄(通称江ノ電)は、藤沢〜鎌倉間を繋ぐローカル線。まぁ静岡でいうところの静鉄みたいなもんですわ。
 5百数十円の乗り放題切符を購入した僕らは、とりあえず鎌倉に来た以上は、大仏を拝まないと話が始まらないとの結論に至り、終点の鎌倉を目指すことに。
 しかし、この時点で大きな考え違いをしていることに、僕らは、まだ気が着いてはいなかったのです。
 終点鎌倉駅の3駅前で降りる大半の乗客。鎌倉駅周辺において、まばらな観光客。それらの事象が1本の線で繋がったとき、明らかになる意外な真相。
ミ ステリー風に次回へと続きます。 (つづく)