ゲン拉致されるⅡ(最終話)

 約1名の意気消沈した男を乗せ、僕らは本栖湖から下部方面へと向かいます。
 ちなみに本栖湖畔から下部に抜けるトンネル付近では、富士山がとても綺麗に見えるので、オススメスポットでございます。うん、たまには真面目なことを書いてみた。
 富士山の絶景を横目に、僕らは山道へと突入。この辺で、だいぶみんな無口になって来たので、僕はある罠を仕掛けることにしました。
「おいよ、キクチ」
「なんだ?」
「ここを突っ切ると、やがて52号線に行き着く。そこで右折するか左折するかは、貴様の自由だ」
 要は道案内をしないから、キクチの決断次第では、静岡とは反対方向に逆走もあり得るという地獄のルールを敷いたわけです。キクチは群馬在住のため、この辺の地理を知らないので、それを上手に利用したロシアンルーレットみたいなもんすわ……って、なんじゃ、そりゃッ!
 しかし、キクチは空気を読まずに応えました。
「あッ、じゃあ、左でいいっす」
 あー、もうお前ってヤツは、堕ちるところまで堕ちたな。まっすぐ静岡に帰るルートを選ぶなんて。うっかり右って言っちゃって、泣く泣く長野との県境まで走っちゃうお前の方がみんな大好きだと思うよ。
 と思い、何度か回答の修整を試みるも、クロさんが翌日に仕事があるため、そんな遅くにも帰られぬことを考慮し僕は、渋々静岡への直行便を認めたのでした。無念也。
 その後は、特別にどこかに寄ることもなく、真っ暗な52号線を、ひたすら静岡に下るという美食倶楽部では御馴染みの光景を、今年も新年早々にお披露目することとなったのです。
 こうして静岡に戻った僕らは、夕食を取ったのちに、午後8時ほどに解散したのでした。
 あっ、日本平パークウェイに上ったりしたけど、星がキレイだったぐらいで、なおかつオールメンズで星を見ても、差して盛り上がらなかったので、ここでは割愛させて頂きます。あしからず。
 今回の旅の報告は以上です。ではまた次の旅か企画でお会いしましょう。


CAST


ゲン
キクチ
NOV
クロ


スタッフ


文章:ゲン
シリーズ構成:ゲン
テーマソング:ゲン『悲しみのベアークロー』
企画:キクチ
製作総指揮:美食倶楽部