風林火山特別篇(第7話)

 廃墟を横目に、僕らはひたすら東へと歩き続けます。
 目測では4キロ。しかし、JRの駅で2駅分ってことは、本当に4キロ? って感じです。
 僕らは黙々と歩きました。歩いて、歩いて、ぶーぶー言って、また歩いて。
 けっこう長い時間(正味2時間)歩いていたんですけど、ホント、みんなグッタリしてしまって、特に会話とかなかったので、書くこともないんですよね。
 工事現場のおじさんに教えられた道を勘違いして、女子高に迷い込んだ件は、ものの15分くらい。それで2回分のブログを書けるときもあるのに、2時間歩いても、2行で終わってしまうこともある。笑いを求めるブログとは、かくも厳しく、かくも儚いものなのです。
 と、なんとか僕の感想で繋いでいる間に、僕らはヘロヘロになりながらも、甲斐善光寺へとやって来ました。しかし、さしもの善光寺とはいえ、やはり分家(?)ともなると、長野の総本山(?)と比べて、スケールが幾分か小さいのはやむを得ないところ。既に長野の善光寺に行ったことのある僕からしたら、いまいち気持ちが高ぶらないわけです。
 ここにも本家同様、暗い地下を進むやつ(名称忘れた……)があったのですが、以前、本家で余りの暗さに発狂した後ろから来たおばさんに、めっちゃくちゃボディタッチをされて以来、トラウマ以外のなにものでもないので、僕はいち早く連れの2人に言いました。
「せっかくここまで来たのに、こんなこと言って悪いんだけど、俺、わざわざ500円払ってまで、暗いところに行きたくないから、もし2人が行くなら、入り口で待ってるぜ」
 すると、2人とも揃って、俺達も特別に行きたくないとのことなので、僕らは参拝も早々に寺の見学を終えました。
 せっかく2時間かけて来たのに、見学がものの5分で終わってしまったことに物足りなさを感じながら寺を去ろうとすると、寺の境内に土産物屋があるのを発見。せっかくだからと立ち寄ってみると、店内には(2つ前の)大河ドラマに便乗して製造されたと思われる武田信玄グッズが、けっこうな量おいてありました。
 織田信長が1番好きな僕ですが、基本戦国時代の有力大名は好きなので、心が躍ったのは言うまでもありません。一期一会の精神(使い方が間違っています)に基づき、もう来ることもないだろうと、風林火山ハンカチ、風林火山軍配、風林火山Tシャツと勢いに任せて5千円を越える買い物をしてしまった僕に、ジョイトイがポツリと呟きます。
「そんなに買ってしまって良いのか? これから行く武田神社には、もっと色々あるのかもしれんのだぞ?」
 そうは言われても、ここより何もないのかもしれないのだし、前にキクチとNOVさんとちょっくり寄ったときには、大きい土産物屋なぞ見た気がしなかったので、僕は彼に自信を持って応えます。
「大丈夫だ! ここ以上の土産物屋はない!」
 賢明な読者の皆さんは、この件がオチに繋がるのは、もうおわかりですね。 (つづく)