名古屋リベンジ(第3話)

 因縁の店。それは1年前の名古屋興行の際、所詮チェーン店と高をくくっていったら、信じられないぐらいの行列ができており、とうとう入れなかった『やば豚』でございます。知らない人のために、ひとつ注釈を加えておくと、名古屋で味噌カツと言えば、まずこの店の名が上がると言っても過言ではない有名店です。今回は、ぜひともここで味噌カツを食べねばならないと、混んでいないと思われる開店直後、すなわち11時着を狙って、プランを練ったわけですが、渋滞に巻き込まれた結果、到着は1時過ぎ。哀れ、1番混んでいる時間になってしまったわけでございますのぅ。
 とりあえず1年前と同じビルに行ってみると、案の定、超がつくほどの行列が。個人的な本音を申せば、昼飯などは適当に済ませ、早く決戦の場に行きたかったわけですが、それではいささかパチンコ屋に同行せず、ここで一旦お別れするジョイトイに申し訳なかったので、ここは我慢して並ぶことに。それでも去年とは違い覚悟はできていたので、そこまで苦にはならなかったかな。
 30分ほど待ったところで、ようやく店内へ。名物の『わらじカツ』(*とにかくデカイ)を頼むべきかと思ったのですが、壮絶なダイエットで酷使した体が量を受け付けずに、残すのも恥ずかしかったので、『鉄板味噌カツ』みたいのにしました。
 それでもブログの絵的に、1人ぐらいはわらじカツを食べないと、如何なものかと思ったのでケンダマンに、
「おめぇ、わらじカツ食えよ」
 と、勧めたのですが、
「僕、ゲンさんと同じのでいいっす!」
 と、空気を読まない発言。いやぁ、ゆとり教育のひずみを垣間見た瞬間でございましたなぁ。ジョイトイジョイトイで、普通のなんてこたぁねぇメニューを食べてるし。もうどうでもいいや! 美味けりゃ、なんでもいいや!
 自暴自棄になったところで、若干話は変わりますが、『やば豚』って、チェーン店だけにリーズナブルなお値段かと思ってたら、どれもけっこう高いね。俺の定食なんて、2千円近かったよ。これなら、その辺のカツ屋で食った方が、否、もっと言えば、静岡のカツ屋で、味噌ダレ注文して食った方がお得なんじゃ……。いや、みなまでは申さぬ!
 こうして腹も膨れたところで、僕らはデパートを出ました。時刻はおよそ午後2時。ここでジョイトイと、しばしの別れになります。
「ではここで一旦、解散にしよう。待ち合わせは、そうだな……。名古屋らしくテレビ塔の下で午後8時にしようか」
「わかった」
「何か変更やら、問題が生じたら携帯で連絡を取り合おう」
「承知した。じゃあ、また8時に」
 ジョイトイと別れ、2人となった僕とケンダマンは、いよいよ戦場へと足を向けたのでした。 (つづく)