鉄腕Bダッシュ! (第3話)

 GW初日の洗礼を受け、超が付くほどの過激な渋滞に巻き込まれた僕らは、休憩を兼ねて市内の『道の駅 宇津ノ谷峠』に到着します。
 所詮、市内だから目ぼしいものはないだろうと、高をくくりながらも、一応土産コーナーを覗いてみると、そこには面白味のラムネ各種が売っていました。例えば、わさび味であるとか、杏仁豆腐味であるとか。
 むぅ、地味ではあるが、勝負にはなるな。
 そんな印象を抱いた僕に、ジョイトイが言葉をかけます。
「おい、これ使えるんじゃないか」
「ああ、爆発的な面白さはないが、東軍がつまらない物を買ってきたときには、勝負にはなりそうだな」
「この渋滞じゃ、この先どのぐらいの土産物屋にたどり着けるかしれん。他所にこれより面白い物があったら、それと差し替える前提で、買うだけ買っておいたらどうだ?」
「保険ということか。いいだろう。万が一のことを考えると、保険に入ってないと怖いもんね。ところでどうだい。ここいらで君も1本生命保険に入ってみたら?」
「黙れ、保険屋。俺に商売している暇があったら、さっさと1番おもしろそうな味のラムネを選べ」
 こうして僕が選んだのは、『カレー味』のラムネ。
 このときは、そんな思い入れなく買ったこの『カレー味』のラムネですが、のちのち今回の企画のキーアイテムとなりますので、頭の片隅において置いて下さい。
『道の駅宇津ノ谷峠』を出発した僕らは、超混雑しているバイパスを西へ。どれだけ混雑していたかと言うと、ジョイトイがどこぞから仕入れて来て、
「たまには、こんなのも良かろうぜ」
 と言って流した『スタジオ ジプリ』のアニメCD(普通のアルバムくらいの時間があるやつ)が、1周しても数百メートルぐらいしか進まないぐらいの凄惨な混みっぷりだったのです。
 このままじゃ、バイパスを進むだけで制限時間が来てしまう。
 そう思った僕は、ここである決断をします。
「おい、とりあえず次のインターでバイパスを下りるぞ! 150号線で西に行った方が、まだ空いておるじゃろうて! ……それに腹も減ったしのぅ」
 混雑したバイパスのせいで、10時の開会式を行ってから、既に3時間が経過。昼飯を食って士気を高め仕切り直すため、僕らは焼津の街に降り立ちました。 (つづく)