鉄腕Bダッシュ! (第5話)

 田舎道を進むこと数十分。僕らは掛川へとやって来ました。
 掛川城のあたりが、街で1番の観光地名所(あくまで僕らの想像ですが)だけに、ここなら土産物屋があるだろうと、最寄りと思われる駐車場に車を停め、僕らは城方面へと繰り出しました。
 僕らの行っている競技の性質上、ここはさっさと土産物屋に立ち寄り、面白いものを吟味して、早々に立ち去るべきなのでしょうが、そこはラブ・ジャパニーズ・ヒストリーの僕らのこと。せっかく来たのだから、少しぐらいは観光を……ということに必然的になるわけです。
 ちょうど祭りもやっていたので、城をみたり、祭りをみたりで、結局1時間ぐらい遊んでしまいました。御殿がなかなか良かったかな……とか言ってる場合じゃねぇッ! あと3時間半後には、おもろい土産物を3つ買い揃えて、駿河区某所まで戻らにゃいかんのじゃいッ! ここに到着するまでに4時間半かかっていることを考えると、到底遊んでいる時間ではなかったのです。とにかく面白さを競う企画で、僕がいるチームに敗北は許されないのだ!
 そのことに気付いて、早々に土産屋に向かうと、ここが何と言いますか優等生的な品揃えで、面白いものが全くない状況。
 それでも何かないかと、目玉を見開いて売り物を物色する僕に、ジョイトイが報告をしてきます。
「ねぇ、この『茶っぷりん』って面白くない?」
 ジョイトイが見つけてきたのは、その名のとおり、お茶テイストのプリン。確かに名前こそ、そこそこ面白いですが、あとはどう見ても普通のプリンなわけで……こいつはちょっと戦力としては弱そうですが、他に眼鏡に適う商品もなかったので、とりあえず購入した次第です。『カレー味ラムネ』に続けての、とりあえず購入。大丈夫かよ、おい。
 さすがに、掛川城の土産物屋で、もう1つの勝負の1品を買う気にはなれなかったので、僕らは次の目的地を目指すことにしました。
 しかし、これ以上、西に行くのは、制限時間の関係で相当厳しいので、
「この近くで、どこかそれっぽいところねぇかな」
 などと言っていると、ジョイトイが提案してきました。
「おい、それなら花鳥園っていうのが、この掛川にはあるぞ。行ってみないか?」
 ふーむ、花鳥園ねぇ。悪くはなさそうだな。
 問題は、そこまでの距離。おそるおそるカーナビで検索すると、場所は掛川城から、さほど遠くないところと出ました。
 これで次なる目的地は決定しました。
「花鳥園で、勝負をかけるぞ!」
 僕は車をナビの指示に従って進めました。 (つづく)